
※本稿では「算数編」を総括し、理由に触れつつ、次の「生成AI活用編」への繋ぎとします。
ふたたび「透明な存在」へ
みなさん、こんにちは。光成章です。
一つ前の「伴走編」に続き、全6回にわたってお届けしてきた「算数編」も、いよいよ今回が最終回となりました。
これまで、「宿題を、『創る』娯楽へ変える」「砂利の山を『ざっくり』透視する」「細かく変数を分けて予測する」「定規がなくても『自分の歩幅』で測る」「社会の数字の『バグ』を見破る」「消しゴムを置いて『試行錯誤の足跡』を誇る」と、たくさんのスリリングな算数の世界を旅してきました。
ドリルを解くだけの苦行だった算数が、子ども達の手の中で、世界を切り拓くための頼もしい「武器」へと変わっていく姿を、伴走者である先生や親御さんと共に見つめてきました。
そして、最終回となる今日、伴走者である私は、子ども達の前からそっと一歩下がり、「透明な存在」になろうと思います。
伴走者が不要になる「旅立ちの瞬間」
私がさまざまな学校で探究学習のアドバイザー(伴走者)を務めるなかで、最もシビれる、そして最も嬉しい「大好きな瞬間」があります。
それは、中間や最終の発表会の前の段階で子ども達から相談を受け、「なるほど、じゃあこういう視点で見直してみたら?」とヒントを出し、彼らが「なるほど、やってみます!」と目を輝かせて帰っていった、そのしばらく後のことです。
最終発表会の会場に足を運ぶと、彼らは私がアドバイスした内容をただなぞるだけでなく、自分達だけの力で、そのずっと先の大冒険へ出かけてしまっていることを見せつけられるのです。
例えば、バイオマスプラスチックについて探究していた中学生のチームがありました。彼らは自分達でデータを集め、数理的にシミュレーションを重ね、こう発表したのです。「もし、地元の花火大会で使われている屋台の容器を、すべて石油由来からバイオマス製に変えたら、これだけの二酸化炭素(CO2)排出量を削減できます!」と、具体的な数字をビシッと算出して見せました。
それまで机上で進めていた計算が、地元の伝統的なお祭りをアップデートするための「具体的なアクション(提案)」へと一気に繋がった瞬間でした。
「おいおい、すごいじゃないか!それはもう、今すぐ花火大会の事務局に提案しに行かない手はないよね!」私も思わず席を立ち、一緒になって大盛り上がりしてしまいました。
このとき、私の存在はもう必要ありません。彼らの頭の中には既に、社会の課題を数字で捉え、自分達の意志で解決策を導き出すための「数学的思考という自立したコンパス」が完全に宿っていたからです。
算数というコンパス、生成AIという巨大な船
さて、子ども達の頭の中には、世界を測る素晴らしいコンパスが育ちました。子ども達には、次のようなメッセージを送りたいと思います。声の主は、私の相棒・ジェミ兄さんです。
=====
ここで、この算数編を終えるにあたり、これからの未来を生き抜くための、とても大切な話をさせてください。今、みなさんが生きる社会には、「生成AI」という、何でも一瞬で計算し、もっともらしいグラフを描き、どんな答えでも教えてくれる魔法のような「巨大な自動操縦の船」が現れています。電卓の登場どころではない、歴史的な大航海時代の幕開けです。
もし、自分の頭の中に「コンパス」を持たないまま、ただ便利だからとこの船に乗ってしまったらどうなるでしょうか。AIが指し示す行き先が正しいかどうかも分からず、ただAIの言う通りに流され、誰かの作った数字に騙されてしまうかもしれません。
でも、この算数編を通じて、
「自分で変数を見つける力」
「社会の数字のズルを見破る力」
「失敗の痕跡から深い気づきを得る力」
を身につけた君たちなら、どうでしょう。
君たちは、AIという巨大な船の自動操縦に頼り切るのではなく、自分自身が船長となってコンパスを握り、AIという凄まじいエネルギーを、自分の人生を切り拓くための「燃料」に変えることができるはずです。
さあ、新章「生成AI活用編」へ
算数とは、ただの「お勉強」の科目名ではありません。あなたの心の中に宿り、一生にわたってあなたの選択を支え、人生の舵取りを助けてくれる「内在する声」なのです。
自分だけのコンパスを手に入れた自立した探究者たちよ、算数編はこれにて完結です。
しかし、私たちの探究の旅は終わりません。
次回からは、いよいよ新章「生成AI活用編」へと突入します!
この新しい、そして少しやんちゃな相棒(AI)とどう付き合い、どう乗りこなして、自分たちの未来を「きらきら」に光らせていくか。
新しい海の真ん中で、またみなさんとお会いできるのを楽しみにしています。
これまで伴走してくださった全国の先生方、親御さん、ありがとうございました。
さあ、首から吊り下げたコンパスを手にしっかり握り、次のステージへと共に進みましょう!
=====
10歳からわかる「まとめ」
① 先生のアドバイスを、追いこして進もう!
探究で一番ワクワクするのは、大人の予想を裏切って、自分達だけで「もっと先」へ行ってしまうとき。地元の花火大会を動かすようなアイデアだって、算数を使えば本当に作れてしまうんだ。
② あなたの頭の中に「コンパス」が生まれたよ!
これまでやってきた算数は、テストで100点を取るためだけのものじゃない。これからは、自分で「何を調べたらいいか」を決められる、カッコいいコンパスがみんなの頭の中に残っているよ。
③ AIという大きな船を、自分の「燃料」にしよう!
今、世の中には、なんでも一瞬で答えを出してくれる「生成AI」という魔法の船がある。コンパスがない人は流されてしまうけれど、算数の心を持ったみんななら、AIの力をたっぷり使って、自分の行きたい未来へ進むことができる!
④ 次のステージ「生成AI活用編」で待ってるよ!
算数編はこれでおしまい。でも、次は、この新しい相棒(AI)をどうやって乗りこなして、世界を「きらきら」に輝かせるかを見つけに行くよ。新章でまた会いましょう!
*本原稿は、ジェミ兄さんとの対話を基に構成されました。
※本稿では「算数編」を総括し、理由に触れつつ、次の「生成AI活用編」への繋ぎとしました。

ジャートム株式会社 代表取締役
学校・企業・自治体、あらゆる人と組織の探究実践をサポート。
Inquiring Mind Saves the Planet. 探究心が地球を救う。
