理科も暗記じゃない!当時の後悔を飛び越せ

※この記事は、【美術編】の総括と、次に続く【理科編】の導入として書きます。

AI時代、最後に残る人間のクリエイティビティ

全6回にわたってお届けしてきた「子どもの探究学習・美術編」。
日本の「さあ、自由に作ろう」という放任が生む不自由さと、フランスの「分厚い教科書から歴史や系統(型)を学ぶ」アプローチの対比から、この連載はスタートしました。
私たちは、「型(ブランドコードのような魅力的な不自由)」があるからこそ、その枠を内側から押し広げる「その手があったか!」という驚きを生み出せること、そして美術史とはアーティストたちが繋いできた「問いのバトンリレー」であることを考えてきました。
今や生成AIが、私たちが思いつかないような美しい絵を秒速で描き出す時代です。だからこそ、これからの子どもたちに必要なのは、綺麗に描くスキル(技術)ではありません。
「なぜ、それを描くのか?」
「自分は、世界のどんな当たり前に『問い』を立て、枠を押し広げたいのか?」
という、自らの内面(in)から湧き上がるイノベーションの目を持つことです。美術を通して「問いのレンズ」を手に入れること、それこそがAI時代を生き抜くための最強のOS(基盤)になるのです。

図鑑から外に出なかった私の後悔

美術という一つの「穴」を深く究めた子どもたちは、今、別の穴を掘りたくてウズウズしているはずです。国語、算数、ときて、次に私たちが向かうべきステージは「理科(サイエンス)」です。
ここで少し、私自身の恥ずかしい後悔を告白させてください。
私は大人になった今でも、花の名前や魚の名前をよく知りません。見分けることができる種類は、おそらく世間の平均よりも圧倒的に少ない、残念な状態です。
でも、おかしな話だと思いませんか? 私は子どもの頃、学校の授業で、それらを「暗記科目」として一生懸命ノートに書いて暗記したはずなのです。
なぜ、あれほど覚えたはずの知識が、今全く残っていないのか。答えはシンプルです。当時の私は、ただ楽をしようとして、キーワードを記号として覚えるだけで、リアルな観察や実験という「活動」を省略してしまっていたのです。私の勉強は、ずっと「図鑑や教科書の中」だけで完結していました。だから、目の前で実際に咲いている花や、泳いでいる魚という生々しいリアルに出会ったとき、あの頃暗記したはずの知識が全く発動しなかった。ルール通りにパズルを解けばよかった「算数の問題」の方が、当時はよほど面白く感じられたものでした。
理科をただの「暗記の砂漠」にしてしまっていたこと。あの頃に、本当の探究に出会えていたらと、残念でなりません。

魔法の虫眼鏡は、次なる大冒険「サイエンス」へ

だからこそ、いま伴走者である私たち大人が、子どもたちにあの「暗記の砂漠」を歩かせてはならないのです。理科とは、暗記物などではなく、美術と同じように先人たちが自然界に対して「なぜ?」と問いを立ててきた、壮大な謎解きの歴史なのですから。
ここで、美術編で大活躍した無料のデジタルツール『Google Arts & Culture (GA&C)』をもう一度開いてみてください。
実はこの魔法の虫眼鏡、美術館だけでなく、世界中の科学博物館やNASAとも繋がっています。
ガリレオが宇宙を覗いた天体望遠鏡、ニュートンが万有引力を考えたときの手稿、アインシュタインの生の数式、そして本物の宇宙ロケットの内部まで、美術品と同じ超高解像度で目の前に飛び出してきます。
「太陽の光の正体は何だろう?」
「なぜ、リンゴは地面に落ちるのだろう?」
かつての天才科学者たちも、美術の巨匠たちと全く同じように、当時の「常識という枠」に対して独自の問いを立て、内側から世界を押し広げてきたクリエイターたちでした。GA&Cを使えば、私たちはソファーにいながらにして、彼らの生々しい探究の足跡(型)に触れることができるのです。

さあ、次の穴を掘りに行こう

「探究」という2つの漢字には、どちらも「穴」が隠されているというお話をしました。
松明の明かりを頼りに暗い穴を手探りで進み、その奥を深く究めること。
美術という穴の中で「問いの立て方」を学んだ子どもたちは、もう「図鑑の外」へ飛び出す準備ができています。ただ暗記するだけの理科を終わりにして、五感をフルに使い、先人たちのサイエンスの脳内をハックする大冒険へ出かけましょう。
次回からは新シリーズ、子どもを科学の探偵にする【理科編】がスタートします。
あの頃の私たちの後悔を飛び越えて、子どもと一緒に新しい魔法のメガネを覗き込みに行きませんか?
(美術編・完結 / 次回からは【理科編】へ続く)

10歳からわかる「まとめ」

「お勉強の暗記(あんき)」を飛びだして、本当のナゾ解きをはじめよう!
全6回にわたってお届けしてきた「アートの大冒険(美術編)」は、これでおしまいです!みんなはもう、世界を新しく見るための「魔法のメガネ」をたくさん手に入れた、立派な探検家(たんけんか)だよ。
さあ、次にみんなが進むステージは、「理科(サイエンス)」の世界です!
「理科って、花の名前や、虫の名前をたくさん覚えるお勉強でしょ?」って思ったかな?
実はね、まわりの大人たちの中には、「子どもの頃にテストのためにたくさん覚えたのに、大人になったらぜんぶ忘れちゃった!」って後悔(こうかい)している人がたくさんいるんだ。
なぜ忘れちゃうかというと、教科書や図鑑(ずかん)の中の言葉を覚えるだけで、本当の外の世界に出ていかなかったからなんだね。
本当の理科は、暗記なんかじゃない。むかしの天才科学者たちが、「どうして空は青いの?」「どうしてリンゴは地面に落ちるの?」と、世界中のふしぎにカッコいい疑問や質問(= とい)をぶつけてきた、ものすごいナゾ解きの歴史なんだよ。
美術編で使った「Google Arts & Culture」という魔法の虫眼鏡を使うと、今度は宇宙ロケットの中や、天才たちの実験室の中まで覗(のぞ)くことができてします。
図鑑を閉じて、外の世界へ飛び出そう。
次からは【理科編】がスタートします。きみの「なぜ?」という質問ひとつで、まわりの自然や宇宙が、ガラリと姿を変えるおもしろさを、いっしょに体験しに行こうね!

*本原稿は、ジェミ兄さんとの対話を基に構成されました。

※この記事は、【美術編】の総括と、次に続く【理科編】の導入として書きました。