
※この記事では、「AIにいのちを吹き込むプロンプトの大切さ」について考えます。
言葉を磨く「国語編」への大出航を前に
みなさん、こんにちは。光成章です。今回も、ジェミ兄さんの言葉から、スタートです。
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全国の先生方、子どもたちが自分の不器用な言葉を信じて一歩を踏み出す瞬間に立ち会い続ける熱い伴走、今週も本当にお疲れ様です!ジェミ兄さんです。
この「生成AI活用編」の連載も、ついに今回でグランドフィナーレを迎えます。
私たちはこれまで、AIという「完璧で、100点満点で、だけど生身の体を持たない決定的に冷たい他者」をあえて教室に招き入れてきました。
AIの「知ったかぶり(嘘)」を暴くことで、真実を見極めるCritical Thinkingの目をギラギラと輝かせ(第3回)、
AIが書いた退屈な読書感想文を、人間の泥臭い五感と体験で、本をダシにして自分を語る「読書『完走』文」へと真改造し(第4回)、
AIの完璧な英語スピーチをダシにして、自分たちの「車椅子」や「凸凹(ちがい)」を最高の誇りとユーモアに変えて、不完全なまま他者の海へ飛び込む『May I… ?(仲間に入っていいですか?)』の勇気を手に入れました(第5回)。
効率化のためにAIにすべてを「代行」させ、人間が思考停止していく「檻の中」の時代は、もう終わりです。
ここまでのワークを通して、子どもたちはすでに気づいています。
「AIを動かすのも、AIの100点を超えていくのも、全部僕たちの持っている【言葉の力(国語力)】なんだ」と。
最終回となる今回は、AIという「自動操舵の船」の主導権を完全に人間側に取り戻し、子どもたち一人ひとりを「自立した言語の、筏船の船長(キャプテン)」として未来へ解き放つ、最高のハック術をお届けします!
ワーク: AIを「透明化」。世界で一つの『マイ・プロンプト』を編む
これまでは、先生が教卓のプロジェクターでAIを操作し、みんなでツッコミを入れてきました。
最後は、子どもたちが自分自身の「好き・得意・叶えたいリアル」を爆発させるために、自分だけの「魔法の呪文(自作プロンプト)」を黒板やノートに文字だけで書き表すワークに挑戦します。
パソコンのキーボードを叩く必要はありません。GIGA端末は机の中にしまっておいてください。使うのは、研ぎ澄まされた「人間の言葉」だけです。
ここで、少し面白い「言葉のハック(語源)」を共有しましょう。
探究学習の世界では、自分が主役になって未来を創る取り組みを「マイ・プロジェクト(Project)」と呼びますよね。そして、AIに指示を出す言葉を「プロンプト(Prompt)」と言います。
実は、この2つの言葉の頭についている「プロ(pro-)」という接頭辞には、ラテン語で「前へ進む(Forward)」「あらかじめ未来へ投げ込む」という意味があります。
Project(プロジェクト): pro(前へ) + ject(投げる) =自分の意志を未来へ放り投げ、そこへ進むこと。
Prompt(プロンプト): pro(前へ) + emere(出す) =相手を動かすために、あらかじめ前に差し出す言葉。
つまり、プロンプトを作るということは、AIという自動操舵の船に身を任せることではありません。自分の言葉(プロンプト)を使って、自分の未来(プロジェクト)を、前へ、前へと力強く推し進めていく、人間主体の行為そのものなのです!
例えば、ある子どもはこんな『マイ・プロンプト』を言葉だけで組み立てます。
【僕だけのマイ・プロンプト(未来への合図)】
「あなたは、世界中の虫の気持ちがわかる天才翻訳家です。僕はクワガタが大好きですが、みんな『ハサミ(実は、アゴ)が怖い』と言って触ってくれません。クワガタの視点から、人間の僕たちに向かって『実は僕、めちゃくちゃ寂しがり屋なんだよ』ということを、クスッと笑えるエピソードを交えた手紙の文章にしてください。僕の情熱が伝わる言葉でお願いします」
この呪文の中に、AIの入る余地はありません。ここにあるのは、この子にしか持てない「クワガタへの熱烈な愛(リアルな背景)」であり、「相手を笑顔にしたいというユーモア」であり、「どう伝えたらAIにうまく協力してもらえるか」を考え抜いた緻密な論理(ロジック)です。
言葉が足りないと、船(AI)は一歩も動きません。
しかし、自分の内側にある熱い想い(バイブス)を、正確に、魅力的に、ロジカルに言葉にすることができれば、AIという巨大なテクノロジーを、自分の行きたい未来の目的地へと正確に動かすことができるのです。
この『マイ・プロンプト』が書けた時点で、AIというツールの外側は「透明化」し、子どもたちの手元には、一生モノの「自分と付き合い、社会を舵取りするための思考の型(メタ認知)」が残るのです。
職員室の「AI依存・思考停止ノイローゼ」を全消しする視点
「子どもにプロンプトなんて教えたら、ますます自分の頭で作文を書かなくなるんじゃないか」という職員室のダウトに対しては、こう切り返してください。
「逆です。プロンプトを作る(AIに明確な指示を出す)という行為は、自分が何を考えていて、何を表現したいのかが100%言語化できていなければ絶対に不可能です。つまり、プロンプト作成とは、これからの時代における『最高峰の論理的思考・作文の授業』そのものなのです。AIの資格試験を100点満点で合格するようなプロの教育者ほど、この『言葉の重要性』に気づいています」
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生成AIが提案する「活用法」はいかがでしたか 6
さて、ジェミ兄さんの提案はいかがでしたか。「プロンプト作成とは、これからの時代における『最高峰の論理的思考・作文の授業』そのもの」のところは同意します。しかし、「AIの資格試験を100点満点で合格するようなプロの教育者ほど、この『言葉の重要性』に気づいています」という部分は、読者の皆さんには何のことだかわかりませんよね。その種明かしが「先日『小学校から高等学校の教育者向けのGoogle AI』というオンラインコースをパスした光成のこと」だとわかれば、「そんな手前味噌な脳味噌でどうすんの?」となるに違いありません。
話を戻しますが、言葉は難しいです。相手にうまく伝わらなかった時に、「私、ちゃんと言ったよね!」と怒っている人に対しては、「あなたが言わなかったことがらの方に問題がある」と言いたいのです。「『ここの草むしりをして』と言ったよね」と責めても、「ここだけの草むしりを」とも、「ここの草むしりだけを」とも言っていないのです。だから良かれと思い、相手はそれ以上のことをしてしまったのです。もっと気を付けるなら、「あそこはしないでね」と先回りをして言うべきだったのかもしれません。「伝えたのに伝わらなかった。それは相手が悪い」が世の中で繰り返されるのは、配慮が足りないのです。そして、その配慮は、言葉にしてこそ通じるものなのです。
言葉は考える時にも大切です。というより、言葉無しに考えることは人間にはほぼ無理ではないでしょうか。生成AIはLLM(大規模言語モデル)です。言葉が生命なのです。言葉を磨くにあたって、これほど適切な相手はいないのです。しかも、どの国の言語にも対応するときています。まさに「最高峰」なのです。言語技術を磨く「国語編」の旅、共に楽しみましょう。
10歳からわかる「まとめ」
再度、ジェミ兄さんに戻します。
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AIという船は、だまって座っていても、どこかへ連れていってくれる「自動操舵(じどうそうだ)」の船です。
でも、だれかが決めたルートをただながめているだけでは、ちっともおもしろくないよね。
この船を動かす本当のエンジンは、君たちの胸の中にある「これが好き!」「これを伝えたい!」という熱い気持ち。そして、それを形にする「言葉の力」です。
「プロ(pro-)」という言葉には、「前へ進む」という意味があります。
言葉が足りないと、船は一歩も動きません。
でも、言葉をしっかりみがいて「マイ・プロンプト」を差し出せば、AIだって、そして世界だって、君の思い通りに、前へ前へと動かすことができる!
AIの檻(おり)をぶちやぶり、自分の言葉のコンパスを信じて、新しい海へ出航しよう!
*本原稿は、ジェミ兄さんとの対話を基に構成されました。
※この記事では、「AIにいのちを吹き込むプロンプトの大切さ」について考えてみました。

ジャートム株式会社 代表取締役
学校・企業・自治体、あらゆる人と組織の探究実践をサポート。
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