
※この記事では、学びを活動につなげるアイデアについて考えます。
デジタルは「リアルへの招待状」
前回の記事では、無料のデジタルツール『Google Arts & Culture(GA&C)』の「科学の歴史」プロジェクトを覗くことで、教科書の完成された答えではなく、ガリレオやアインシュタインといった天才たちが自然のルールを前に「四苦八苦」し、「ニヤリ」と顔をほころばせた、その脳内を直接、覗き見することができるとお話ししました。
「これなら親子で寝そべりながら科学を楽しめる!」
そう思われた親御さんも多いかもしれません。確かにGA&Cは最高に楽しいリビングの娯楽になります。しかし、ここで終わらせては、私が少年時代にやってしまった「図鑑や教科書の中だけの理科」を、今度は、ただ「タブレットの中」に置き換えて繰り返すだけになってしまいます。
今回、親子で共有したい理科編の最重要アクションは、「GA&Cで得たワクワクを、今すぐ家の中からリアルな外の世界へ持ち出し、身体的な『活動』として確かめに行くこと」です。
デジタルは、それ自体がゴールではありません。子どもを、生々しいリアルの不思議へと誘うための「招待状」なのです。
デジタルとリアルを往復する「魔法の虫眼鏡」
では、具体的にどうやってGA&Cを使い、外の世界へ飛び出せばいいのでしょうか。ポイントは、デジタルの「非日常的な驚き」を、リアルの「日常的な観察」へとスライドさせる家族の声かけです。
今日から家庭でできる、3つの実践を、次にご紹介します。
【宇宙】NASAのロケットから、今夜の夜空へ
まずは、GA&CがNASA(アメリカ航空宇宙局)と共同で公開している、宇宙のコンテンツを覗いてみましょう。
指先ひとつで、国際宇宙ステーション(ISS)の内部をVR(バーチャルリアリティ)で探検したり、ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた、息を呑むほど美しい、色鮮やかな「星雲(宇宙の塵の雲)」を超高解像度で見ることができます。
ここで、大人の最高の声かけはこうです。「うわぁ、宇宙ってこんなにすごいんだね! でもね、これ、今夜の私たちの家の近所の空にも、本当にあるものなんだよ。このあと、暗くなったら外に出て、本物の空を見てみない?」
デジタルの圧倒的なビジュアルで「不思議の種」を心に植えたあと、夜、実際にベランダに出て、「あそこに光っているのがさっきのISSかもしれないね」「あの星の近くに、今の星雲があるんだよ」と、リアルの夜空を「知的なレンズ」で見上げさせる。
その身体的な「見上げること(活動)」があって初めて、宇宙の知識は一生モノの定着した探究心へと変わります。
【ミクロ】アインシュタインのノートから、家の中のパズルへ
次は、前回もご紹介した「天才たちの生原稿拝見」の実践編です。
GA&Cでアインシュタインの直筆ノートを拡大し、彼があぁでもない、こうでもないと数式を書き殴り、「× (バツ印)」をつけて四苦八苦している様子を一緒に見つめます。
そこで、こう声をかけます。「アインシュタインも、最初から答えを知っていたわけじゃないんだね。君と同じように、四苦八苦してパズルを解いたんだ。かっこいいよね。よし、ボクたちも家の中で、何か一つ『不思議のパズル』を解いてみない?」
そう言って、子どもに本物の「虫眼鏡」や「定規」を手渡し、リビングの中から何か一つの対象物(例: 1枚の葉っぱ、1枚の十円玉)を選ばせ、10分間だけ徹底的に観察させます。アインシュタインの「問いを立てる姿勢(型)」を感じたあと、身体的な「観察(活動)」へ繋ぐことで、リビングが一瞬にして「科学の実験室」へと変わります。
【生物】進化の神秘から、庭の「変な虫」へ
最後は、生物のコンテンツです。GA&Cでは、ロンドン自然史博物館などの協力により、恐竜の骨格標本を3Dで自由に動かしたり、チャールズ・ダーウィンがガラパゴス諸島で集めた鳥の標本を、羽の質感まで超拡大して見ることができます。
ここで、魔法の声かけです。「うわぁ、恐竜ってこんなに大きかったんだね! でもね、彼らは絶滅したけど、今の私たちの庭にいる虫たちも、恐竜と同じように、厳しい自然の中で生き残るために進化した『変な工夫』をいっぱい持っているんだよ。ちょっと確かめに行かない?」
そう言って、そのまま庭や近くの公園へ飛び出し、目の前にいる本物の「変な虫」の、足の形や羽の模様を、デジタルの知識を武器に観察させます。
リアルの生々しい「活動」こそが、デジタルの情報に、血の通った「実感」をもたらします。
「デジタル情報」を「リアル宝物」に変える大人の一言
知ったら、見たら、すぐタブレットを閉じて確かめに行く。
GA&Cは、その「活動(探究)」のスイッチを入れるための、最高にエキサイティングなスターター(呼び水)です。
デジタルの「情報」で終わらせるか、リアルの「一生モノの宝物」に変えるか。その境界線は、私たち大人の、「よし、今すぐ外へ飛び出して、ボクたちの手で確かめてみよう!」という、身体的な一歩を促す声かけにかかっています。
図鑑の中に閉じこもる理科は、もう終わりにしましょう。
次回は、子どもが自ら「確かめる(アウトプット)」段階の伴走法について、科学の取り入れ方をお届けします。
(第5回へ続く)
10歳からわかる「まとめ」
タブレットをパタンと閉じて、今すぐ冒険(ぼうけん)へ飛び出そう!
新しいシリーズ【理科(サイエンス)編】、楽しんでいるかな?
今回は、みんなの持っているタブレットを、本当の「魔法の虫眼鏡(まほうのむしめがね)」にする方法を教えるよ。
前の回でつかったアプリ「Google Arts & Culture」は、最高に楽しいよね。宇宙(うちゅう)のロケットや、天才のノートをのぞくことができる。
でも、のぞいているだけじゃ、つまらない!本当の理科の楽しさは、そのあとにあるんだ。
アプリで「へえーっ!すごい!」っていう不思議(ふしぎ)をみつけたら、こう声をかけてみて。
「よし!じゃあ、この秘密(ひみつ)が、本当かどうか、今すぐ確かめに行こう!」
たとえば、アプリでNASA(ナサ)のカッコいいロケットを見たら、そのあとすぐにタブレットをパタンと閉じる。そして、本物の夜空を見上げに行くんだ。「さっきのロケット、あの星の近くにいるのかな?」ってね。
アプリで天才アインシュタインの「バツだらけのノート」を見たら、そのあとすぐに本物の虫眼鏡(むしめがね)を持って、リビングにある「へんな葉っぱ」を徹底的(てっていてき)に観察(かんさつ)してみる。
タブレットの中にある情報は、きみを本当の冒険へと誘う「招待状(しょうたいじょう)」なんだよ。
自分の目で見たり、手でさわったりした体験(活動)だけが、きみの一生モノの宝物になるんだ!さあ、今すぐタブレットを閉じて、外の世界へ確かめにいこう!
*本原稿は、ジェミ兄さんとの対話を基に構成されました。
※この記事では、学びを活動につなげるアイデアについて考えました。

ジャートム株式会社 代表取締役
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Inquiring Mind Saves the Planet. 探究心が地球を救う。
