
※この記事では、統計という語の成り立ちもヒントに、理科から社会へのつながりについて考えます。
長期にわたる観察も、もう恐れることはない
全6回にわたってお届けしてきた【理科(サイエンス)編】も、いよいよ今回で最終回を迎えます。
前回は、子どもたちが自分で立てた予想(仮説)を確かめ、その試行錯誤のプロセスを「クラウドという知のタイムカプセル」にどんどん保存していく方法についてお話ししました。
理科の観察や実験といえば、夏休みの「アサガオの観察」や「毎日の気温の変化」のように、長い時間をかけて記録を取り続けるものがたくさんあります。かつては、何枚にもなる紙の観察日記は失くしやすく、場所も取るため、長く続けること自体がハードルでした。
しかし、現代は違います。たとえそれが何年、何十年にわたる観察記録であったとしても、デジタルの力を使えば、紛失の心配もなく、いつでも一発で「検索・比較」ができます。このデジタルの圧倒的な整理力があれば、子どもたちは長期にわたる壮大な観察だって、もう何も恐れる必要はありません。
クラウドに「手の温もり」を宿らせるワザ
さて、無料のデジタルツール『Google Arts & Culture(GA&C)』で見るガリレオのノートは、400年以上の時を超えて今も残っていること自体が奇跡であり、インクの滲みから彼の「手の温もり」が生々しく伝わってきます。その点について、
「デジタルデータにしたら、その温もりが消えて無機質になっちゃうのでは?」
そう心配されるかもしれません。それでは確かに、見返した時の感想や感動が違ってきてしまうかもしれませんね。そこで、クラウドに保存するデータに、人間の体温をそのまま宿らせる3つの魔法のワザ(Tips)をご紹介します。
① 10秒の「声」をセットで保存する
実験中に子どもが「うわぁ、浮いた!」「なんで!?」と叫んだ生の声を、スマホで10秒だけ録音し、写真と一緒にクラウドへ。数年後に聞き返したとき、当時の空気感が鮮烈によみがえります。
② あえて「手書きのブレ」のまま残す
タブレットのタッチペンで書き殴った、ぐちゃぐちゃの矢印やハテナマーク。きれいな文字に清書せずに、あえてそのまま画像として保存する。アインシュタインのノートと同じ「四苦八苦の体温」がそこに残ります。
③ 大人の「目撃談」を1行添える
データの隅に、まわりの大人が「このとき、眠い目をこすりながら夜空を見上げていた」「鼻の頭にインクをつけてニヤリとした」と、当時の情景を1行だけ添えておく。無機質なデータに、大人の温かい眼差しという体温を添えてクラウドに積み上げていく。
実は、このようにして集まった「生きたプロセスの記録」こそが、理科室を飛び出して、次の新しい扉を開く鍵になります。
「統計(Statistics)」のなかに隠された、ある強力な言葉
さて、理科の実験データや、算数のグラフでよく使う「統計」という言葉。統計は科学の用語だと思っている人もいるかもしれません。統計のことは英語では「Statistics(スタティスティクス)」と言います。この一見むずかしそうな単語を、じーっとよく見てみてください。ある重要な言葉が隠れていることに気づきませんか?
そう、「State(国家・国)」です。
みんながクラウドに温もりとともに積み上げてきた「データをあつめて調べる」という理科のパワー。歴史上でこれを最も欲しがり、命がけで発展させてきたのは、白衣を着た科学者ではなく、他でもない国家の統治者たちでした。
大昔の王様たちが、「目に見えないほど巨大な『国(State)』を、スマートに治めるため」に、国中のデータを集め、現状を正しく把握し、未来を予測しようとした。これこそが「統計」の始まりなのです。
理科の実験室で使っていたレンズは、そのまま社会という荒波を生き抜くための武器だったのです。
【理科】:自然界のデータを集めて、「自然の絶対的なルール」を理解する。
【社会】:人間界のデータを集めて、「人間が作った社会の仕組み」に活用する。
子どもたちが集めたささやかなデータの記録は、いつか彼らが大きくなったとき、人口減少や経済といった「社会の巨大なパズル」を解き明かし、より良い世界へと書き換えるための強力な力へと、そのまま直結しているのです。
次なる舞台は【社会編】へ: 人間の世界を深く知ろう!
理科編はこれにて完結です!
自然のルールに知性で立ち向かう楽しさを知った子どもたちが、次に挑むのは「人間たちが作り出してきた世界」です。
次回からは、新シリーズ【社会編】がいよいよスタートします。
最初のテーマは、まさに今回開通したトンネルの先にある、「なぜ王様は『統計』を発明したのか? データで社会を動かす仕組み」から始まります。
私たちの最強の相棒である『Google Earth』などの神ツールを駆使して、リビングにいながらにして世界中の街や歴史の現場へ一瞬でワープする、驚きのハック術を詰め込んでいきます。
世界は、君が確かめてくれるのを待っている。
さあ、問いのバトンをしっかりと握りしめて、次は「人間たちの世界」へ冒険に出かけましょう!
(社会編・第1回へ続く)
10歳からわかる「まとめ」
きみのあつめたデータは、国をうごかす「王様のまほう」にかわる!
【理科(サイエンス)編】をいっしょに旅してきたみんな、本当にありがとう!今回で理科編はさいごの回だよ。
前の回で、みんなのがんばったメモをインターネットの「クラウド」に保存する方法を教えたよね。
デジタルをつかえば、何ヶ月も、何年もつづく長い観察(かんさつ)の記録だって、なくす心配はないし、いつでもパッと調べられるんだ。
でも、「パソコンのデータって、なんだか冷たい感じがするな」と思うかもしれない。
そんなときは、実験しているときのみんなの「うわぁ!」っていう声を10秒だけ録音(ろくおん)していっしょに保存したり、あえてぐちゃぐちゃの手書きのまま保存してみて。未来のきみがそれを見たとき、当時のきみの「手のぬくもり」がそのまま伝わってくるよ。
そしてね、そうやって温もりといっしょにあつまったデータは、みんなの暮らす「社会(しゃかい)」をうごかす最強の武器になるんだ。
算数や理科でつかう「統計(とうけい)」という言葉を、英語では「Statistics(スタティスティクス)」って言うんだけど、この言葉のなかには「State(国・国家)」という言葉が隠れているんだよ。
そう、統計とは、大むかしの王様たちが「国(State)をうまくまとめるため」に作った、社会のまほうだったんだ!
【理科】は、データの力で「自然のルール」を知る。
【社会】は、データの力で「人間の仕組み」を知る。
みんながクラウドにあつめた小さなデータは、ぜんぶ未来の社会をよくするための、王様のパワーに繋がっているんだよ。
さあ、つぎからは新しいシリーズ【社会編】がはじまるよ!
魔法のアプリ「Google Earth」をつかって、世界中のめずらしい国や歴史(れきし)のステージへ一瞬(いっしゅん)でワープしよう。つぎの冒険へ、出発だ!
*本原稿は、ジェミ兄さんとの対話を基に構成されました。
※この記事では、統計という語の成り立ちもヒントに、理科から社会へのつながりについて考えました。

ジャートム株式会社 代表取締役
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