データと意志で動く、人間たちの世界

※この記事から「社会編」のスタートです。「理科」とは異なる「社会」ならではの挑戦について考えます。

問いのバトンは「自然」から「人間」へ

全6回にわたる【理科(サイエンス)編】、いっしょに楽しんでいただけたでしょうか?
私たちは、「美術編」で手に入れた「問いのレンズ」を使い、「理科」という教科が「自然が定めた、絶対に破れない絶対的なルール(枠)」を、データと知性で克服しようとするエキサイティングなゲームであることを学びました。
そして前回の最終回、私たちは「統計(Statistics)」という言葉の中に「State(国)」が隠されているという、秘密のトンネルを見つけました。大昔の偉大な王様たちが、国をうまく治めるために発明した、社会のまほうです。
さあ、そのトンネルを抜けて、今日から新しい冒険、【社会編】がスタートします!
問いのバトンは、「自然界」から、私たち「人間たちの世界」へと引き継がれます。理科で培った「データを疑い、確かめる目(OS)」を持ったみなさんは、もう立派な、未来社会のクリエイターです。靴を履き替えて、次は人間が作った社会のルールを見つけ、仕組みを理解し、それをさらに良いものにしようとする旅に出かけましょう!

社会の「動く枠(ルール)」に挑戦する、逞しい心を育む

「社会」と聞くと、なんだかむずかしそうに感じるかもしれません。
でも、実はとてもシンプルです。社会とは、「人間が、人間同士でうまく暮らしていくために作った、約束事(ルール・枠)の集まり」のことです。
人間が作ったルールだからこそ、美術編でピカソが絵画の常識を破ったように、理科編でコペルニクスが天動説を疑ったように、「なぜこのルールなの?」「もっと良くできるんじゃない?」と問いを立て、見つけ直し、アップデートする楽しさがあります。
しかし、社会のルールに取り組むのは、理科の実験に取り組むのとは、また違う面があります。たとえば、現代の私たち(日本)が直面している社会の問題には、「人口減少」や「将来への不安」といったことがあげられるでしょう。しかし、ほんの数十年前、日本人は、むしろ「正反対のこと」を考えていたのではないでしょうか。「人口増加対策」や「明るい未来への期待」です。社会の問題は、ふとしたことがきっかけで急激に変わることがありそうです。技術革新などがもたらす「新しい」豊かさが、人々の幸福の価値観を劇的に変えてしまうというようなことです。あるいは、「こっちの方がいい」が伝わって、社会が一気に動くというようなことです。これは、社会ならではの「動く枠」と捉えられそうです。枠が動くことには、自由もあれば、かえって「不自由」もありそうです。楽な方向には簡単に動くけれど、それは本来望ましい方向に向かった動きではない、ということもありそうです。
この社会編で、私たちが子どもたちに伝えたい最大の指針は、ただ「問い」を立てるだけでなく、「社会のどこを変えたらいいのかを自分で見つけ、それが本来望ましい方向にしっかり動き出すよう、時には長い時間をかけ、あきらめずに粘り強く実行し続けられる逞しさ(意志の力)を育むこと」です。
社会のパズルは、一日では解けません。何年、何十年という「時間(活動の継続)」を味方につけて、逞しく挑戦し続ける、その伴走法をご紹介していきます。

社会編の最強の相棒: Google Earth (グーグルアース)

社会編の冒険へ出るにあたり、ある最強ツールをハブにします。それは、理科の終わりの回でも名前を出した、『Google Earth』です。
これは単なる地図ではありません。指先ひとつで地球上のあらゆる場所へ一瞬でワープできる、現代の「魔法の絨毯(じゅうたん)」です。
まずは家庭で、Google Earthを開き、子どもの「みて、みて」を世界規模へ広げてみましょう。
「私たちの家はここ。じゃあ、王様が『統計』を発明したイギリスやエジプトはどこだろう?」
「ニュースで言っていた『国境』って、宇宙から見たら線が引いてあるのかな? 確かめに行こう!」
デジタルの力で一瞬にして世界の現場へ飛び立ち、リアルの生々しい景色を目の当たりにする。その「身体的なワープ体験(インプット)」こそが、社会に対する「自分ならどう立ち向かう?」という、逞しく能動的な問い(アウトプット)へと繋がります。

みんなを幸せにする「新しい魔法」をデザインしよう!

理科編の最後に触れた「統計(State → Statistics)」。これは大昔の王様たちが、国をうまく治めるために発明した、社会の「魔法」でした。
しかし、この魔法も、現代の急速な技術革新や、人々の価値観の変化によって、「扱いづらい」枠になっているかもしれません。社会編第1回の問いかけとして、子どもにこうパスを出してみてください。「もし君が王様だったら、データをどう使う? いま、みんなが抱えている『将来への不安』を消して、みんなを幸せにする『新しいルールや工夫』、思いつくまま、とにかくたくさん言ってみて!」「子どもを育てるとき、お金が全然かからないルール!」「未来の自分と対話して、もっといい自分になれる工夫!」子どもたちが「王様の視点」になり、データの力と、未来を良くしたいという意志力で、社会の仕組み(ルール)に挑戦し、考えること。これこそが、一生モノの逞しい「ソーシャルOS」が脳内にインストールされる原動力です。リビングを飛び出し、Google Earthで世界へワープし、目の前の社会の仕組みに「自分ならどう挑戦する?」という逞しい問いをぶつける。社会編の冒険、いよいよ出発です!
(社会編・第2回へ続く)

10歳からわかる「まとめ」

社会(しゃかい)は、人間が作った「約束事(ルール)」の巨大なパズルだ!
新しいシリーズ【社会編】がはじまるよ!
理科(サイエンス)編では、「重力(じゅうりょく)」のような、自然が作った絶対にやぶれないルールをみてきたよね。
【社会編】でみんなが挑(いど)むのは、「人間たちが、人間同士でうまく暮らすために自分たちで作ったルール(枠)」だよ。
たとえば、「信号(しんごう)」や「お金(おかね)」、「法律(ほうりつ)」も、人間が作った約束事だ。
人間が作ったものだからこそ、コペルニクスが「地動説(ちどうせつ)」を疑ったみたいに、「なぜこのルールなの?」「もっとよくできるんじゃない?」と、問いをぶつけてみる楽しさがあるんだ!
でもね、社会のルールに挑戦するのは、理科の実験に取り組むのとは違うところがある。
社会には、みんなが大人になったときに困らないように、いまから「将来への不安(人口問題など)」をなくすような、巨大な変革(へんかく)が必要な時もある。変わることを恐れないということだね。「変化を感じ取ったら、これまでのやり方を変えることを恐れない」。それを素早くできるかどうかが分かれ目になる。
この社会編でみんなに伝えたい一番たいせつなことは、問いを立てるだけじゃなくて、「どうやったら社会がよくなるか、自分で考え、それが本当に良くなるまで、長い時間をあきらめずに、また、臨機応変(りんきおうへん)に逞(たくま)しくやりつづけること」だよ。社会のパズルは、一日では解けない。何年もかけて、粘り強く逞(たくま)しくやりつづける心を育てようね!
この冒険の最強の相棒(あいぼう)が、魔法のアプリ「Google Earth」。
指先ひとつで、地球上のあらゆる国や歴史(れきし)のステージへ一瞬(いっしゅん)でワープできる、現代の「まほうの絨毯(じゅうたん)」だよ。だからみんなも、Google Earthをひらいて、世界中の「人間が作った枠(国境や街の形)」をのぞいてみよう。
そして、「もしボクが、わたしが、王様だったら、このデータをどうつかって、みんなが幸せになれる国にする?」って、逞(たくま)しく社会のパズルに挑戦しようね!

*本原稿は、ジェミ兄さんとの対話を基に構成されました。

※この記事から「社会編」のスタートです。「理科」とは異なる「社会」ならではの挑戦について考えました。