
※この記事では、自身の身体の仕組みを知り、その上で行う、科学的に正しい努力の仕方について考えます。
がむしゃらな力任せより身体のメカニズムを知ろう
前回は、「『運動神経』の良い・悪い」の正体が生まれつきの才能ではなく、脳と身体をつなぐ命令の回路(パイプ)の違いであることを探究しました。タブレットを使って自分の動きを客観的に見る楽しさを知りましたね。
さあ、今回のテーマは、「自分の身体を、メカニズム(機械)として理解する」という探究です。
「もっと力を込めろ!」「根性で跳べ!」といった力任せのアドバイスだけでは、身体は思うように動きませんし、ケガの原因にもなってしまいます。
実は、人間の骨や関節、筋肉は、理科の授業で習う「てこの原理」や「滑車(かっしゃ)」の仕組みとまったく同じ、見事な物理メカニズムでできています。この仕組みを知ることで、無駄な力を使わずに大きなパフォーマンスを生み出すコツが見えてくるのです。
【物理学×骨格】骨と関節は「てこ」の組み合わせ
「なぜ、小さな子どもでも、コツを掴むとボールを遠くまで投げられるんだろう?」
大人はぜひ、お子さんと一緒に肘(ひじ)や膝(ひざ)の曲げ伸ばしを観察してみてください。
支点(関節): 肘や膝などの関節が、動きの回転軸(支点)になります。
力点(筋肉のくっつき目): 骨に繋がっている筋肉が縮むことで、骨を引っ張ります。
作用点(手先や足先): ボールを持った手や、地面を蹴る足先です。
たとえばボールを投げるとき、肩から手先までの「てこの腕(長さ)」をどう使うかで、手先のスピードは劇的に変わります。腕を縮めたまま投げるより、関節を連動させてしならせるように使う方が、支点から作用点までの距離が伸びて、手先のスピードが何倍にも加速するのです。
「力(筋力)を入れる」のではなく、「身体という道具の構造に合わせて、関節の角度とタイミングを整える」。これが、少ない力で大きなパワーを生み出す物理の工夫です。
【生理学×反復】なぜ「地道な繰り返し練習」が必要なのか
ここで大切な疑問が湧いてきます。
「身体の仕組み(コツ)が分かったら、練習しなくてもすぐにできるようになるの?」
答えは「ノー」です。仕組みを理解することは地図を手に入れるようなもので、実際にその場所へ歩いていく「地道な正しい鍛錬(トレーニング)」は絶対に欠かせません。
繰り返し練習することには、科学的な理由が2つあります。
脳の回路を太く・速くする(反復の効果):
第1回で学んだ脳からの命令回路は、何度も何度も正しく動かすことで、電線のように太くなり、意識しなくても一瞬でイメージ通りの動きができるようになります(身体に動きが染み込む状態)。
筋肉を強く・たくましくする(鍛錬の効果):
正しいフォームで適切な負荷をかけることで、筋肉の繊維(筋繊維)は一度少しだけ傷つき、栄養と休養をとることで以前よりも太く強く育ちます。
「根性で耐え抜く」のではなく、「自分の脳と筋肉を正しく育てるために、地道な努力を重ねる」。テクノロジーやデータは、その地道な練習が「間違った方向に行っていないか」を教えてくれる心強いサポーターなのです。
身体のどこを「てこ」にしたら、動きが変わった?
体育編第2回の大人の伴走Tipsは、根性論でも感覚論でもなく、「身体の構造と地道な工夫」に目を向けさせる問いを投げることです。
練習の終わりと、次回の練習の開始時に、自分の身体の動きを振り返りながら、パスを投げます。
「腕や足には、力をがむしゃらに入れるんじゃなくて、肘や膝の『関節(てこ)』をどんな角度で使ったら、いつもより軽い力で遠くに跳べたり、楽に走れたりした? そして、その動きを身体に染み込ませるために、今日はどんな正しい練習を重ねてみようか?」
「腕を大きくしならせる角度を見つけたから、このフォームで毎日10回ずつ投げる練習をして脳に覚えさせる!」
「ジャンプするときに膝を深く曲げすぎない方が力(てこ)が伝わるから、この正しい動きを繰り返し体に染み込ませる!」
闇雲に頑張るのではなく、科学的な仕組みを知り、正しい努力をコツコツと重ねていく。
探究学習の【体育編】は、この身体の物理学を経て、次はサッカーやバスケなどで自分だけの強みが活きる「最高のポジション選び」の探究へと進みます!
(【体育編】第3回へ続く)
【おうちで試せるGoogleの無料ツール】
前回も紹介したGoogleの『Teachable Machine(ティーチャブル・マシン)』が今回もおすすめです。カメラの前で肘や膝を曲げ伸ばしすると、AIが自分の関節の角度(てこの動き)を自動で計算して画面に数字で表示してくれます。「自分の体がこんなメカニズムで動いているんだ!」と直感的に確かめるのにぴったりです。
URL: https://teachablemachine.withgoogle.com/
10歳からわかる「まとめ」
体は最高のメカ(機械)だ。仕組みを知って、正しい「努力(練習)」で自分を強くしよう!
【体育編】の第2回だよ!
体育のとき「もっと力を入れろ!」「根性でがんばれ!」って言われたこと、ないかな?
でもね、力任(ちからまか)せに体を動かすだけじゃ、上手にならないし、ケガもしちゃうんだ。
実は、ボクたちの体(骨や筋肉)は、理科で習う「てこの原理(げんり)」と同じ仕組みでできているんだよ!
肘(ひじ)や膝(ひざ)の「関節(かんせつ)」を上手に使って、角度やタイミングを整えてあげると、小さな力でもボールを遠くに投げられたり、高く跳べたりするんだ。
「じゃあ、仕組みが分かれば練習はいらないの?」というと、そんなことはありません。
仕組みが分かったあとの「地道(じみち)な繰り返し練習」こそが、一番大切なんだ。
何度も練習すると、脳からの命令の線が太くなって、考えなくても体が勝手に動くようになるよ。
正しいフォームで練習すると、筋肉がどんどん強くなって、パワーアップするよ。
無理な根性論じゃなくて、自分の体をカッコよく育てるための「正しい努力」をコツコツ重ねていこう。
*本原稿は、ジェミ兄さんとの対話を基に構成されました。
※この記事では、自身の身体の仕組みを知り、その上で行う、科学的に正しい努力の仕方について考えました。

ジャートム株式会社 代表取締役
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Inquiring Mind Saves the Planet. 探究心が地球を救う。
