違いを響かせ合う社会へ

※この記事では、音楽編のまとめと、次の体育編の導入を行います。

【音楽編】グランドフィナーレ

音楽の冒険も、いよいよ最終回を迎えます。各回では、次のようなことを知りました。
第1回: 音の正体は空気を伝わる「見えない波(物理)」
第2回: リズムは僕たちの胸の中で鳴っている「命の鼓動(心拍)」
第3回: ドレミの重なり(コード)は、脳をハラハラ・ドキドキさせる「心のイコライザー」
第4回: 音楽は文字を超えて人々の想いを未来へ届ける「生きた手紙」
第5回: 街のノイズも自分の脳を集中させる「環境デザイン(BGM)」に変えられる
きっと、学校の授業とは、少し違う「音楽の時間」だったことでしょう。私たちが手に入れたのは、音という現象を使って世界を理解し、社会や自分の脳を調和させていこうという「探究のOS」です。
最終回のテーマは、これまでの探究をすべて繋ぎ合わせる、「アンサンブル(合奏)の意味」と「自分自身を超える集中(ゾーン)」の謎解きです。

「違い」があるから美しい

「合奏(アンサンブル)」と聞くと、みんなで同じ楽譜を使い、ひとつのズレもなく完璧に演奏することを想像していませんか?
でも、探究学習のOSを搭載した僕たちのアンサンブルは、少し違います。
【社会編】で学んだことを思い出してください。社会には、いろいろな考え方や個性を持った人たちが生きています。もし、みんながまったく同じ意見、まったく同じ声しか出さなかったら……それは綺麗かもしれないけれど、とっても退屈で、新しいアイデア(叩き台)が生まれない社会になってしまいます。
音楽も同じように考えてみましょう。
バイオリンの高い音、チューバの低いドッシリとした音、ドラムの激しいリズム。それぞれ違う「波(音色)」や「リズム」を持った楽器ですが、それらが集まり、お互いの違いを否定しなければ、綺麗に重なり合う時がやってきます。その瞬間、たった一つの楽器では作りようのない、壮大で感動的な「アンサンブル(社会の調和)」が生まれます。
君の出す音が、みんなと違っていても大丈夫。むしろ、その『違い』こそが、世界を美しくする最高のスパイスとなりえるのです。

余計な雑念が消え去る「ゾーン(極限の集中)」の境地

そして、この【音楽編】で僕たちが手に入れたもうひとつの宝物は、「自分の集中力を操る感覚」です。
第2回で学んだガムランは、みんなのリズムに身を委ねて心がひとつに溶けていく体験(トランス)のことでした。
その反対に、自分自身の音やリズム、BGMに深く深く没頭し、周りの雑音や「うまくできるかな?」という余計な不安(雑念)がピタリと静まり返る瞬間があります。
これは、スポーツ選手やクリエイターたちが体験する「ゾーン(Zone)」と呼ばれる極限の集中状態です。
「時間があっという間に過ぎていた!」
「周りはまったく音がしなかった。それくらい目の前のことに夢中になれた!」
音の仕組み(波やリズム)を理解すれば、僕たちも自分の力でいつでも、この「ゾーン」の扉を開けるようになるかもしれませんね。

次は「自分の身体」を探究する【体育編】

さあ、【音楽編】の冒険はここでひとまず幕を閉じます。
でも、探究のOSを手に入れた子どもたちの冒険は、止まりません!
音を使って自分の心や脳を集中(ゾーン)させる感覚を掴んだ私たちが、次に挑む冒険ステージ。それが【体育編】です。
「体育」と聞くと、「足が速い子がすごい」「ドッジボールで勝ったチームが偉い」「できないと恥ずかしい」なんて、他人と比べられて嫌な思いをした体験を思い出していますか?
もしそう思って気が進まないと考えているなら、安心してください。
私たちが挑む【体育編】は、他人と順位を競い合う場所ではありません。タブレット(ICT)やデータも駆使して、「世界にひとつだけの、自分の身体の仕組み」を科学し、昨日の自分を超える成長を面白がる最高の実験場です。
自分のフォームを動画で見て、理想の動きとどこが違うか確認する。
数値化されたデータを使って、自分だけの弱点補強プランを作る。
他人と比べる必要はありません。でも、友達のいいところを積極的に見つけようとする気持ちは持っていてください。その気持ちは、自分のいいところを見つけるのにも役立ちます。
【音楽編】で自分だけの音(個性)を見つけようとしたように、今度は世界にひとつだけの「君の身体」の個性を見つけて、さらに、運動の楽しさを自分の手で取り戻す冒険を始めましょう。
さあ、耳を澄ませて、胸を張って。
【体育編】という新しいグラウンドへ、最高のステップで飛び出しましょう。

10歳からわかる「まとめ」

みんなの「違い」が重なるから、世界は最高の音楽になる。さあ、次は、「自分だけの身体」を存分に操る【体育編】へ出発しよう!
【音楽編】の最終回だよ!
1話からずっと続いてきた探究の冒険、どうだった?
音楽って、楽譜(がくふ)を覚えて正しく演奏するだけじゃないんだね。
音の波(科学)、心臓の鼓動(身体)、悲しい音と明るい音(心)、時代を動かす歌(歴史)、街のノイズ(環境)……。音は、世界をひも解く魔法みたいなもののようだよ。
高い音、低い音、激しいドラムの音。
音楽は、「みんなが違う音(個性)」を持っているからこそ、重なったときに感動的な大合奏(アンサンブル)になる。キミの出す音が周りと違っていても大丈夫。その「違い」こそが宝物なんだよ。
そして、音に夢中になって余計な不安が消え去る「ゾーン(極限の集中)」の感覚も手に入れたね!
音の冒険をクリアしたキミが次に飛び出す新しいステージ。それが【体育編】だよ。
「体育」って、足の速さを他人と比べられるから嫌い?
大丈夫!探究の【体育編】は、足の速さを競う場所じゃないんだ。タブレットで自分の動きを撮影したり、データを使いながら「世界にひとつだけの自分の体」を科学して、昨日の自分を超える成長を楽しむ場所だよ。
キミだけの音を鳴らした次は、キミだけの身体(からだ)を探究しよう。新しい冒険へ、レッツゴー!

【おうちで試せるGoogleの無料ツール】
Google Arts & Cultureの『Shared Piano(シェアード・ピアノ)』を開いてみてください。離れた場所にいる人や家族と、同じ画面上のピアノを同時に弾いて、リアルタイムで合奏(アンサンブル)ができる無料ツールです。「遠く離れたみんなの音が重なると、こんな楽しい音楽になるんだ!」と、アンサンブルの喜びを体験するのにぴったりです。
URL: https://musiclab.chromeexperiments.com/Shared-Piano/

*本原稿は、ジェミ兄さんとの対話を基に構成されました。

※この記事では、音楽編のまとめと、次の体育編の導入を行いました。