街の景色がすべて「問いの教科書」に変わる日

※この記事では、頭で知ったことを、実際に街に飛び出して自分の目で確かめてみることの大切さについて考えます。

いつもの通学路が、「冒険のステージ」に化ける

これまで4回にわたって、リビングのソファや床の上で、地球の枠を覗き見したり、歴史や現代の「社会のシーソー」をひも解いてきましたね。
「社会のルールは、みんなの納得(水平)を目指して人間が作ったイコライザー(おもり)なんだ」という最強のOSが、子どもたちの頭の中にしっかりと立ち上がったはずです。
さあ、今回は、そのOSを搭載したスマートフォンやタブレットを片手に、ついに親子で「家の中(ホーム)」から飛び出ましょう!
行き先は、いつもの通学路でも、駅前の商店街でも、近所の公園でも構いません。
なぜなら、一歩外に出た瞬間、子どもたちの目には、昨日までとはまったく違う「激変した街の景色」が飛び込んでくることになるからです。
ただの背景として通り過ぎていた街の景色が、すべて「いま、まさに誰かが社会のシーソーを水平にしようと格闘している、生きた問いの教科書」へと化けるのです。

夏休みの街で見つける、優しさと実験のイコライザー

新しくアップデートされた目で眺めながら街を歩くと、あちこちに「現代のイコライザー(おもり)」が隠されていることに気づきます。
たとえば、夏休み期間中の今なら、昼間に地域の公民館やカフェなどで開かれている「こども食堂(しょくどう)」の看板を見かけるかもしれません。
そこは単に美味しいご飯を食べる場所というだけではありません。夏休みに入って学校の給食がなくなったり、親御さんが仕事で忙しかったりするときに、子どもたちの栄養や居場所に関して、シーソーが寂しい方に傾かないよう、地域のみんなが「優しさのおもり」をそっと乗せてバランスを整えている、生きたイコライザーの現場なのです。
あるいは、駅前の商店街を歩いていると、曜日ごとに店主やメニューが変わる不思議なお店を見つけるかもしれません。そこは、実は「シェアキッチン」と呼ばれる場所です。これもまた、現代ならではの、最高に面白いイコライザーです。「自分のお店を持ちたいけれど、大きなお金がない」という若い経営者たちが、曜日ごとにお店を借りて、料理を提供しながら「実験」を繰り返している場所なのです。
大人は、子どもと一緒に歩きながら、すかさずこんな風に「問いのパス」を出してみてください。
「あそこの場所は、毎日違うお店になるんだって。昔はお店を開くのって大ごとだったけれど、今はこうやって『小さく実験する仕組み』があるんだね。なんで今の時代、こういう実験が必要なんだと思う?」

「正解がない時代」だからこそ、小さく試行錯誤する価値観

子どもと一緒に考えてみたいのは、今の社会の流動性です。
昔の社会と違って、今は「こうすれば絶対に成功する」という先行きが見えにくい、予測不可能な時代です。だからこそ社会の側も、「最初から完璧を目指すのではなく、まずは小さく試して、失敗したら直せばいい(試行錯誤)」という価値観を応援するルールへと、グニャグニャと形を変えてイコライズしているのです。
シェアキッチンやクラウドファンディングは、まさにその「実験をやりやすくするための現代の魔法」です。
街のアンバランス(傾き)に気づくだけでなく、「あ、あそこで誰かが新しい実験をして、社会のバランスを整えようとしているぞ!」と気づくこと。これこそが、リビングから街へと飛び出した子どもの、知的な覚醒の瞬間なのです。

君ならこの街で、どんな実験をしてみたい?

社会編第5回の大人の伴走Tipsは、街の景色をただ見せるのではなく、「もし君がこの街のルールを使って実験するなら、何をしてみたい?」という、未来の仕掛け人としてのパスを出すことです。
お家に帰ってきたら、すかさず最後のパスを投げます。
「今日の街には、こども食堂や、実験を繰り返すシェアキッチンがあったね。もし君が、この『実験がしやすい現代の仕組み』を使って、街のシーソーを水平にしようとするなら、どんな試行錯誤をしてみたい?」
「夏休みの間だけ、使われていない教室を借りて、子どもたちが先生になる『逆転スクール』を実験する!」
「シェアキッチンでおじいちゃんの秘伝のカレーを売って、地域のつながりをイコライズする!」
先が見えない世の中は、怖い場所ではありません。むしろ、自分たちのアイデアをいくらでも「実験」して、しなやかに社会の物語を書き換えられる、最高の冒険ステージです。さあ、家族みんなでスニーカーに履き替え、生きた社会のドラマを確かめに出かけましょう!
(社会編・第6回へ続く)

10歳からわかる「まとめ」

おうちを飛び出そう!いまの街は、みんなのアイデアを「実験(じっけん)」して社会をハッピーにする冒険ステージだ!
【社会編】の第5回では、いよいよ「おうちの外」へ飛び出すよ!
タブレットやスマホを持って、いつもの通学路や商店街へお散歩に出かけてみよう。
第4回までに学んだ「社会のシーソーをまっすぐにするイコライザー(おもり)」の目で街を眺めてみると……不思議! いつもの景色がガラリと変わって見えるんだ。
たとえば、夏休みのあいだ、街で見かける「こども食堂(しょくどう)」。学校の給食がお休みのあいだも、みんなが元気に笑顔で過ごせるよう、地域の人たちが乗せてくれた「優しさのおもり」なんだね。
それから、曜日ごとにお店が変わる「シェアキッチン」のレストラン
いまの社会は、むかしと違って「こうすれば絶対に正解・成功!」という未来が読みづらい時代なんだ。だからこそ、「まずは小さく始めて実験してみて、みんなの意見を聞きながら作戦を立て直す」という【試行錯誤(しこうさくご)】を応援する仕組みが、街の中にたくさんできているんだよ!
街を歩きながら、「あの場所では、だれがどんな『実験』をして社会のバランスを整えているかな?」「ボクなら、どんな実験をして街を楽しくするかな?」って、逞(たくま)しく考えてみてね!
未来の社会は、みんなの実験の積み重ねで作られていくんだよ!

*本原稿は、ジェミ兄さんとの対話を基に構成されました。

※この記事では、頭で知ったことを、実際に街に飛び出して自分の目で確かめてみることの大切さについて考えました。