Geminiをパートナーにするプロンプトの基本

※本記事では、生成AIを活用し始めるにあたって、まず、プロンプト作成の基本について紹介します。

教材研究でもう一人悩まない

全国の先生方、今日もお疲れ様です。
Google Workspace for Education 活用Tips、新シリーズ「Gemini & Gemini Notebook編」のスタートです。

放課後の職員室で、教材研究や授業準備をしながら、こんな風に一人で悩んでいませんか?
「明日の授業の『導入』、もっと子どもたちが食いつくアイデアはないかな…」
「単元のまとめで使える面白い発問が、自分一人だとマンネリ化してしまう…」
「誰かにちょっとアイデアを相談したいけれど、周りの先生もみんな忙しそう…」

教材研究はとても創造的で楽しい時間であるはずなのに、一人きりで考えていると煮詰まってしまいますよね。そんな先生の目の前にも、いつでも嫌な顔ひとつせず、秒単位で無数のアイデアを返してくれる頼れる相談相手=「ジェミ兄さん(Gemini)」がいます。
今回は、Geminiを最高の「スパーリングパートナー」に変える、プロンプト(指示文)の基本テクニックをご紹介します。

1. 「ただ聞く」だけではもったいない。AIとの会話のコツ

AIに質問するとき、つい「小学5年生の理科の授業アイデアを教えて」と短く聞いてしまいがちです。
もちろんこれでも答えてくれますが、返ってくるのは教科書通りの一般的な答えになりがちです。
Geminiから「おっ、それ面白い!」と思える具体的なアイデアを引き出すには、【3つの骨組み】を意識して伝えるのがコツです。

【プロンプトの3大骨組み】
良いプロンプトはいずれも、次の3つの要素をきちんと伝えています。
1. 前提(あなたの立場・相手): 「あなたは小学校のベテラン理科教員です」「対象は小学5年生です」
2. 目的・状況(何に困っているか): 「『流れる水のはたらき』の導入で、児童が思わず引き込まれるような身近な疑問や導入の工夫を考えています」
3. 条件・出力形式(どう出してほしいか): 「実験器具を使わない導入アイデアを3パターン、箇条書きで提案してください」

これらをセットにして投げるだけで、Geminiはただの「検索エンジン」から、先生専属の「超優秀な教材研究パートナー」へと化けるのです。

2. すぐに使える教材研究の壁打ちテンプレート

コピーしてそのまま使えるテンプレートをご用意しました。〔 〕の中身を打ち替えて使ってみてください。

【役割】
あなたは小学校(中学校)の指導経験が豊富な教員です。

【依頼】
〔学年〕の〔教科〕における「〔単元名〕」の導入アイデアを検討しています。
児童・生徒が「なんでだろう?」「知りたい!」と主体的に探究したくなるような授業の導入アイデアを3つ提案してください。

【条件】
・1コマ(45分/50分)のうち最初の5分程度で使えるもの
・身近な生活体験や驚きのある現象をフックにすること
・それぞれのアイデアについて、「児童・生徒への発問例」を添えること

3. 「対話(チャット)」でさらにブラッシュアップする

さて、Geminiの真骨頂が、実は、一度答えをもらって終わりにしない「キャッチボール」にあることを意識していますか。

返ってきた3つのアイデアを見て、
「2つ目のアイデアが面白い!これをもう少し作業寄りにアレンジできる?」
「少し難しそうだから、もっと簡単な言葉で発問を作ってみて」
「これに合わせた導入の板書案も作って」

と、まるで隣の先生に相談するように追加で言葉を投げかけてみてください。驚くほど柔軟に、先生の頭の中にある理想の授業の輪郭を形にしてくれます。

今日のミニ校務ワーク (所要時間: 3分)

Geminiを開いて、明日の授業の「導入のつかみ」を一緒に作成してみましょう。

課題: Geminiに授業の「導入アイデア」を相談してみよう
1. ブラウザで Gemini(gemini.google.com)を開きます。
2. 先ほどのテンプレートを貼り付け、〔学年〕〔教科〕〔単元名〕をあなたの担当に合わせて書き換えます。
3. 送信ボタンを押し、返ってきた3つのアイデアを眺めてみてください。
4. 気に入ったアイデアに対して、「〇番のアイデアを、生徒同士がペアで話し合える形にアレンジして」 と追加で投げてみましょう。

★ここをチェック!
一人でうんうん唸っていたアイデアが、ものの数十秒で「具体的な発問」まで形になりましたか?
このスピード感と安心感こそが、Geminiと進める新しい授業づくりの第一歩です。

10歳からわかる「まとめ」

教材研究を「孤独な作業」から「ワクワクする共同作業」へ

いかがでしたか?
先生の頭の中にある経験や想いに、Geminiの膨大な知識と柔軟な発想力を掛け合わせることで、授業準備の時間は大幅に減り、アイデア出しは何倍も楽しくなります。

次回(第2回)は、さらに一歩進んで授業づくりです。「指導案からワークシートまで1分で下書き。Geminiで作る探究・単元デザイン」をお届けします。お楽しみに。

正・反・合

今、授業における「導入部」の工夫は、これまで以上に重要度を増していると感じます。
子どもたちの間に「探究的な学び」を根付かせるためには、授業の冒頭でまず自分自身の中に「なんでだろう?」「どうしてそうなるの?」という疑問や謎が芽生えることが欠かせません。その謎を解き明かしたいという切実なモチベーションがあるからこそ、先生の話に自然と耳が傾き、主体的に実験や検証のプロセスを考え始めるからです。
「総合的な学習(探究)の時間」では、自分の最も興味のあるテーマを自由に選ぶことができます。しかし、そこにどう向き合い、どう解き明かしていくかという「探究的アプローチの型」は、日々の各教科の授業の中で数多く触れ、体得していくものだと思うのです。だからこそ、その成否を握る「導入」の設計が極めて重要になります。
とはいえ、魅力的な導入を作れるかどうかは、教師の経験年数はもちろん、テーマによっては自身の趣味や余暇での実体験に左右される部分も少なくありません。例えば釣りが好きな先生なら、魚の生態や海・川の環境変化について実感を伴った熱いエピソードを語ることができるでしょう。一方で、一人の教員がすべての教科・単元において、自力だけで完璧な導入を用意し続けるのは到底無理な話です。
そこで、Geminiのような生成AIの出番となります。AIにアイデアの土台や切り口を素早く出してもらい、そこに先生ならではの「体感を伴ったエピソード」という人間のアドオン(温もりある肉付け)を加えていく。これこそが、AI時代における理想の教材研究の姿ではないでしょうか。
また、そうして磨き上げられた「作品レベルの各自自慢の導入部」は、ぜひ一人で抱え込まず、職員室や地域の枠を越えて広く共有されてほしいと願います。実際、アメリカでは先生同士が授業の導入や指導アイデアを共有し合うプラットフォーム(例えば TeacherHive のような取り組み)も生まれています。
AIを相談相手にしながら、先生の人間らしい想いを重ねた最高の授業を、皆で創り出していきましょう。

*本原稿は、ジェミ兄さんとの対話を基に構成されました。

※本記事では、生成AIを活用し始めるにあたって、まず、プロンプト作成の基本について紹介しました。