
※この記事では、「社会」の枠はなぜ変化するのかについて、事例をもとに考えます。
地図を広げたら、そこはもう「冒険のステージ」
前回から始まった【社会編】。私たちは、社会というものが「人間たちがうまく暮らしていくために作った、約束事の集まり」であることを共有しました。
そして、その約束事(枠)には、理科の自然法則とは違い、人々の価値観や時代の潮目によって生き物のようにグニャグニャと形を変えていく予測不可能な面白さがあるということにも触れました。
そんな変化し続ける人間たちの世界を覗き見るための最強の相棒が、アプリ『Google Earth (グーグルアース)』です。
これを単なる「便利な地図」として使うのはもったいない!
指先ひとつで地球の裏側へ一瞬でワープできる、現代の「魔法の絨毯(じゅうたん)」であり、これを使いこなせると、探究学習や活動は、子どもたちが社会の仕組みをひも解くための最高の冒険ステージになり得ます。
地形と気候という、地球がくれた最初の「枠」
まずは学校や自宅で子どもと一緒にアプリを開き、地球をぐるぐると回してみましょう。
社会を学ぶ第一歩である「地理」とは、教科書の暗記ではなく、「地球が人間に与えた最初の枠(制限)」を体験することから始まります。
大人がナビゲーターになって、こんな風に声をかけてみてください。
「もし君が大昔の人だったら、この地球上のどこに家を建てて、どこに街をつくる?」
考え込んでいたら、こんなヒントをあげてもいいかもしれません。
「川は近くにあった方がいい?」「海の近くか山の上だったら、どっちがいい?」「この、緑色の濃い場所はどんなところだろう?」
やがて、子どもたちは、「水が近くにあって、地面が平らなところがいい!」と指さすでしょうか。
山があればそこが「国境」になり、海に囲まれていれば独自の「文化」が育つ。人間はまず、地球が作った「地形や気候」という枠に合わせて、生きる場所を選びました。これが、地球の枠と人間の最初の関係といえるでしょうか。
「そっちに行くんだ!」価値観の潮目で激変する街の形
しかし、ここからが社会の本当の面白さであり、予測のつかないスリリングな部分です。
人間は、与えられた枠の中にじっとしている生き物ではありません。人々の「幸せの基準(価値観)」が変わった途端、「そっちに行くとは思わなかったのに、一気に人が動いて、街を変えてしまう」という現象が頻繁に起こります。
日本のお城や街の歴史を、Google Earthで上空から覗いてみると、その大逆転の足跡がくっきりと見えてきます。
たとえば、日本の戦国時代の武将たちを思い浮かべてみてください。彼らの中には、あえてゴツゴツとした険しい山の上に城を建てた人もいました。「敵から身を守る」「敵が攻めて来づらいところに居場所を持つ」ために、自然の山を砦にしようと考えたのです。
城の建設途中では、井戸が掘られ、美味しい水が見つかり、産業が起こり、山肌にそって小さな(城下)町が開けていきました。当時は、その地域だけで経済が小さく回っていたため、一見住みづらそうな山の中が、彼らにとって「ちょうどいい場所」だったかもしれません。多少の不便はあったでしょうが、「枠」の大きさとして、問題を感じさせるほどのものではなかったのではないでしょうか。
ところが、時代が進んで戦(いくさ)がなくなり、「町の外と、モノを売り買いする(物流)」という新しい潮目がやってきた途端、社会の枠組みがガラリと変わり始めます。かつて快適だった山の中の町は、大きなトラックが行き交う現代の物流にとっては「不便な枠」になってしまいました。平和であることも後押しし、人々は広くて平らな平野へと移動して、物流拠点を設けたり、そこからさらに先への物流ということでは、海や空の港の近くに移動したりもしていきました。
人々の価値観やそれに基づく暮らしの様子が変わるだけで、昨日までの「良い場所」が、明日には「不便なところ」に変わってしまう。社会とは、こうして、枠自体がどんどん形を変えていく生き物といえるでしょう。
大切なのは、やはり、確かめに行く姿勢
社会編第2回の大人の伴走Tipsは、Google Earthの検索窓を使った「仮説と検証のワープ」です。
子どもがニュースや本で「世界の不思議」に出会ったら、すかさずパスを出します。
「本当かな? じゃあ、魔法の絨毯で今すぐ現地の空へ飛んで、上空から確かめてみよう!」
山の上に取り残された古いお城の跡と、平野に広がる現代の巨大な港町。
あるいは、かつては人が住めない所だったはずなのに、石油が見つかった途端に世界中からモノが集まって超高層ビルが立ち並んだ砂漠の都市(ドバイなど)。
「人間は、その時代の幸せに合わせて、地球の枠をどうやって作り変えてきたんだろう?」という問いを胸に、上空から街の形や人々の暮らしを観察します。
地球という壮大なステージの上で、人間たちが四苦八苦しながら枠の形を変えてきたプロセスを、ぜひ一緒に体感してみてください。世界は、覗き込んでくれるのを待っています!
(社会編・第3回へ続く)
10歳からわかる「まとめ」
魔法のアプリで空へ飛び出そう!時代の「潮目(しおめ)」でかわる街の形
【社会編】の第2回がはじまるよ!
今回の相棒は、指先ひとつで世界のどこへでも一瞬で飛べる魔法のアプリ「Google Earth (グーグルアース)」。
地球をのぞいてみると、高い山や、大きな川が見えるよね。これが、地球が人間にくれた最初の「枠、もしくは壁(カベ)」なんだ。
でもね、人間の社会がおもしろいのは、みんなの「これが幸せ!」という考え(価値観)が変わると、街の形もガラリと変わってしまうことなんだ。
たとえば、日本の戦国(せんごく)時代のお城をGoogle Earthで見てみよう。
むかしの武将(ぶしょう)たちは、敵から身を守るためにあえて、たとえば、険(けわ)しい山の上に城を作ったりしたんだ。近くに井戸をほって美味しい水を見つけ、山の中に小さな町を作って、みんなで仲良く暮らしていたんだよ。当時はそれが「最高の場所」だったんだね。
でも、戦(いくさ)がおわって平和な時代がやってくると、もっと広い世界との交流を求めて、広くて平らな平野や、海の港の近くへ移って行った人もいます。みんなの考え方に変化があらわれ始めたんだね。
人間は、その時代に合わせて、社会の枠をどんどん変えていく力を持っているんだよ。
みんなも、Google Earthの魔法の絨毯(じゅうたん)にのって、「むかしの人はなんでここに街を作ったのかな?」「いまはどんな風に変わったのかな?」って、空からたくさん観察してみてね!
たとえば、中東のドバイなどを拡大してみると、かつては人が住めなかったはずの砂漠なのに、そこが最先端(さいせんたん)の巨大都市に変貌(へんぼう)していることにも気づくよ。「あれ? 水もないような砂漠の真ん中なのに、ものすごい超高層ビルがたくさん建っている街があるよ。なんでこんなところに街ができちゃったんだろう?」と思うかもしれないね。
*本原稿は、ジェミ兄さんとの対話を基に構成されました。
※この記事では、「社会」の枠はなぜ変化するのかについて、事例をもとに考えてみました。

ジャートム株式会社 代表取締役
学校・企業・自治体、あらゆる人と組織の探究実践をサポート。
Inquiring Mind Saves the Planet. 探究心が地球を救う。
