
※この記事では、誰もが楽しめるように「ルールを変えること」と、「決まったルールの中で自分を鍛えること」の両面について考えます。
自分たちに合わせてルールを変える
前回は、心拍数や乳酸といった生理学データを使って自分だけのスタミナ管理を行い、科学的なトレーニングで限界を伸ばしていくレベルアップを探究しました。
さあ、今回のテーマは運動の得意・不得意を超えて全員が夢中になれる「ルール(環境)のデザイン」と、そこから広がる「スポーツの真の魅力」についてです。
ドッジボールやサッカーなどの体育の授業で、「運動が得意な子だけがボールを独占して、苦手な自分は…」といった経験はありませんか?
「スポーツのルールは絶対だから、プレイヤーがルールに合わさなきゃいけない」
学校の体育の現場では、そう思い込みがちです。
ですが、探究学習のOSを搭載した僕たちの体育は違います。
「みんなの身体や得意・不向きに合わせて、ルール(環境)の方を自分たちで新しく工夫してみよう!」という、最高にクリエイティブなアプローチを試します。
全員が主役になれる「ゲームバランス調整」
ゲーム開発者が、全員が楽しめるようにルールを調整するように、学校の体育も「ルールの工夫」で全員が夢中になれる時間に変えられます。
「全員が1回以上ボールに触れてからじゃないとシュートできない」ルールにしてみる。
運動が苦手な子が決めたゴールは「3点」にする。
足が速い子が圧倒的に有利なら、コートの形を工夫して狭くしてみる。
「与えられたルールで勝つ」だけでなく、「全員が夢中になれる条件を自分たちでデザインする」。
障がいのあるなしに関わらず誰もが対等に熱中できる「ボッチャ」のようなユニバーサル・スポーツと同じように、ルールを工夫することで、誰も取り残さない「全員が主役になれるグラウンド」を生み出すことができるのです。
その先にある、「高みを目指す競技スポーツ」の熱狂も
ここで、とても大切な問いが生まれます。
「じゃあ、スポーツは全部ルールをゆるくして、みんなで仲良く楽しむだけでいいの?」
答えは、はっきりと「ノー!」です!
学校の「体育」でルールの面白さや身体を動かす快感を知ったあと、もし君が特定の競技に強く惹かれたなら、次は「決まった厳格なルールの中で、極限まで高みを目指す『競技スポーツ』の世界」へと飛び込むときです。
現在、少子化や部活動の地域移行(クラブチーム化)などに伴い、全国大会の規模が縮小されるなど、子どもたちがスポーツに触れる環境は大きな変化の時代を迎えています。だからこそ今、「ルールに則って、極限まで技や体を鍛え上げ、勝利や記録を目指す情熱」は、これまで以上にかけがえのない宝物になっています。
学校の「体育」: ルールを調整して、誰もがスポーツの面白さを発見する「裾野(すそ野)」を広げる場所。
本気の「競技スポーツ」: 決められた厳しいルールの中で、仲間と励まし合い、自分の限界に挑んで世界の頂点や自己ベストを目指す「頂点」を極める場所。
「もっと速く走りたい!」「もっと強くなりたい!」という向上心は、アスリートたちの素晴らしいプレイとなって世界中を感動させ、観ている私たちの胸を熱く焦がします。
体育の授業で「スポーツって面白い!」と目覚めた君が、次は既存の競技ルールの中で自分の限界に挑み、トップアスリートへの階段を駆け上がっていく。この「楽しむ体育」から「高みを目指す競技」への情熱のバトンこそが、これからのスポーツ文化を支える一番のエネルギーなのです。
君が「本気で極めてみたいスポーツ」は何?
体育編第5回の大人の伴走Tipsは、「体育の時間で誰もが楽しめる環境づくり」を体験させた上で、「その先にある『本気で高みを目指す競技スポーツの楽しさ・情熱』へと目を向けさせる問い」を投げることです。
授業や遊びが終わったら、子どもに最後のパスを投げます。
「体育の時間にみんなでルールを工夫して遊ぶのって楽しかったよね! でももし、君がこれから決められた本気のルールの中で、限界まで技を磨いて『もっと上(世界の頂点や自己ベスト)を目指してみたい!』と思う競技があるとしたら、それはどんなスポーツ?」
「体育でサッカーの楽しさを知ったから、今度は本気のサッカーのルールで、限界まで練習してクラブチームで一番の選手を目指したい!」
「みんなで工夫して走るのも楽しかったけど、次は100m走の厳格なルールの中で、0.1秒でもタイムを縮める本気のトレーニングに挑戦してみたい!」
誰もが楽しめる土台(体育)を知り、そこから自分だけの「本気の情熱(競技)」を見つけて高みを目指す。
探究学習の【体育編】は、この環境デザインと競技への情熱を経て、いよいよ最終回(第6回)「極限の集中・ゾーン状態(グランドフィナーレ)」へと向かいます。
(【体育編】第6回へ続く)
【おうちで試せるGoogleの無料ツール】
Googleの『Google ドキュメント』や『Google Keep(キープ)』を使ってみましょう。スマホやタブレットで「自分たちが考えた新しい体育のルール」や「これから本気で挑戦してみたいスポーツの目標(自己ベストなど)」をメモして共有できます。自分だけの「スポーツ目標ノート」を作るのにぴったりです。
URL: https://keep.google.com/
10歳からわかる「まとめ」
「みんなで楽しむ体育」でスポーツを好きになったら、次は「本気で上を目指す競技(きょうぎ)」のカッコよさに挑戦しよう!
【体育編】の第5回だよ!
体育の授業で、「足が速い子ばかりが得をして、自分はぜんぜん活躍できない…」って悲しくなったこと、ないかな?
だから体育の時間では、「全員が楽しめる新しいルール」を自分たちでつくってみよう!
「全員にパスが回ってからシュート」「苦手な子のゴールは3点!」みたいにルールを工夫すれば、みんながヒーローになれるんだ!
でもね、「じゃあ、スポーツは全部みんなで仲良くやるだけでいいの?」というと、そうではありません!
体育で「スポーツって楽しいな!」と分かったら、今度は「決められた本気のルールの中で、限界まで自分を鍛(きた)えて『高み』を目指す競技スポーツ」に挑戦する番だよ。
今、世の中ではスポーツをする子どもが減ったりして、大会の形も新しく変わろうとしているよ。だからこそ、「もっと強くなりたい!」「世界の頂点(ちょうてん)や、自分の最高記録を目指したい」という情熱は、とっても大切な宝物なんだ。
オリンピック選手みたいに、きびしいルールの中で努力を重ねて限界を超える姿は、世界中の人を感動させるよね。
体育でスポーツの楽しさの「土台(すそ野)」をつくったら、次は君が「本気で極めたい競技」を見つけて、かっこよく限界にチャレンジしてみよう!
*本原稿は、ジェミ兄さんとの対話を基に構成されました。
※この記事では、誰もが楽しめるように「ルールを変えること」と、「決まったルールの中で自分を鍛えること」の両面について考えました。

ジャートム株式会社 代表取締役
学校・企業・自治体、あらゆる人と組織の探究実践をサポート。
Inquiring Mind Saves the Planet. 探究心が地球を救う。
