世界は「波(振動)」で出来ている

※この記事では、音楽を科学することに焦点を当て、物理的な側面から音の説明を試みます。

音楽の授業は世界をひも解く「物理学ラボ」へ

探究学習・活動の冒険、新しいステージ【音楽編】へようこそ!
「音楽の授業が始まるよ」と聞くと、皆さんは何を想像しますか?
「楽譜を正しく読む練習? リコーダーの指使いの暗記? それとも、昔の作曲家の名前を覚えること?」
もし、そのようなことだけだと思っているなら、大間違いです!
私たちがともに挑む【音楽編】では、それとは別のことに挑戦します。
音という不思議な現象を使って、人間の心、歴史、そしてこの世界そのものの仕組みをひも解く、刺激的な「実験場(ラボ)」となることを目指します。
学校の音楽の時間には直接教わることは少ないかもしれない、音楽の正体。
第1回のテーマは、音楽を「物理(理科)」として探究する、「音のサイエンス」です。

音楽の正体は空気を伝わる「見えない波(振動)」

「音楽」っていうけれど、そもそも「音」って、一体何だと思いますか?
「声」や「楽器の音」。私たちの周りにはたくさんの音があふれていますが、その正体は、目には見えない「空気の振動(ふるえ)」です。
空気がグニュっと押されたり、引っ張られたりする力が、まるで水面に広がる波のように空気を伝わって、僕たちの耳に届く。これが音の正体。つまり、「音は波(ウェーブ)」なのです!
家にあるもので、さっそく実験をしてみましょう!
実験1: 自分の声の振動を感じる
のど仏のあたりに優しく手を当てて、「あーー」と声を出し続けてみてください。のどがビリビリと震えているのが分かりますか? これが声の正体。のどの奥にある「声帯(せいたい)」という膜が空気の波を作っている「現場」です。
実験2: コップの水を揺らす音の波
ガラスのコップに水を張り、指を濡らして縁をこすってみてください。または、コップをスプーンで軽く叩いてみてください。「キーン」という音が鳴った瞬間、水面に細かな波紋が立つのに気づくはずです。
楽器の弦(げん)も、ドラムの皮(ヘッド)も、リコーダーを吹いたときの空気も、みんな「波(振動)」を生み出しています。何かを動かすという意味では、社会のイコライザー(おもり)と同じで、世界を動かす・震わせるための装置といえるかもしれませんね。

ドレミの違いは、波の「長さ」と「細かさ」の違い

「音の正体が波なのは分かったけれど、なんで『ド』と『レ』みたいに高さが変わるの?」
大人は、ここで子どもと一緒に、見えない波の形を想像してみましょう。
音の高さが決まる秘密は、波の「1秒間に何回震えるか(細かさ)」の違いです。
高い音: 波がものすごく細かくて、ギザギザしている状態(1秒間に何千回も震える)
低い音: 波がゆったりとしていて、大きなうねりがある状態(1秒間に数十回しか震えない)
たとえば、ギターの弦を想像してください。細い弦や、指で短く押さえた弦を弾くと、波が細かくなって「高い音」が鳴ります。逆に、太い弦をそのまま弾くと、波がゆったりして「低い音」になります。
【社会編】で、古いおもりが合わなくなって社会が傾いたように、音楽の世界でも、波の長さが少しでも合わないと、心地よい調和(アンサンブル)は生まれません。ドレミの音階は、人間が「心地よい!」と感じる波の長さを必死に探して、12個の「心地よい枠(オクターブ)」として整理したもの、といえるかもしれませんね。

街のノイズ(雑音)も、音楽の仲間になれる?

音楽編第1回の大人の伴走Tipsとしては、音を技術ではなく「現象(波)」として捉え直す問いを投げることを提案したいと思います。
お家に帰ってきたら、街歩きの音を思い出しながら、最後のパスを投げます。
「今日の街歩きで聞いた、工事現場のドリルの音や、電車のガタゴト音。あれも空気の『振動(波)』だよね。もしあのバラバラなノイズ(雑音)を、どうにかして『心地よい波(ドレミ)』に変えるとしたら、君ならどんな魔法(ルール)を使って変えてみる?」
「工事の音をサンプリングして、カッコいいドラムのリズムに組み替えちゃう!」
「ドリルの振動に合わせて、みんなで踊る新しいダンスのルールを作る!」
一見バラバラで、放っておけばただのノイズに聞こえる世界も、私たちが「音(波)」という現象の仕組みを理解し、みんなの納得(調和)の形を見つければ、最高の音楽に変えられます。
探究学習・活動のOSを搭載した【音楽編】の冒険は、この物理学ラボから、さらに深く、間の心、そして身体の謎へと向けて、リズムを刻み始めます!
(【音楽編】第2回へ続く)

【補足】「音・波動のサイエンス」が伝わるサイトの紹介

『Chrome Music Lab』( https://musiclab.chromeexperiments.com/ )
Sound Waves: (
https://musiclab.chromeexperiments.com/Sound-Waves/ )
画面上の鍵盤を押すと青い点が空気の分子のようにプルプルと震え、波(粗密波)となって右へ伝わっていく様子がリアルタイムでアニメーション表示されます。
高い音を押すと波の網目が細かくなり、低い音を押すと波の幅がゆったり広がるため、「音の高さ=波の細かさ」という本文の解説が、子どもたちの頭にスッと入ります。
Spectrogram: ( https://musiclab.chromeexperiments.com/Spectrogram/ )
マイクに向かって声を出したり、コップを叩いた音を聴かせると、その「音の形(波形の高さや周波数)」がカラフルな光のラインとして画面に描かれます。
まさに「見えない音の波動を可視化する」実験ツールです。

『Google Arts & Culture』( https://artsandculture.google.com/?hl=ja )
以前も紹介した、Google Arts & Cultureが提供する「Experiments(実験プログラム)」にも、知覚をひろげるデジタルコンテンツがいくつもあります。
Paint with Music: ( https://artsandculture.google.com/experiment/paint-with-music/YAGuJyDB-XbbWg?hl=ja )
キャンバスにブラシで絵や描線を描くと、その線の太さや高さ、色に合わせて音(波)が生成され、視覚と聴覚が融合した音楽が生まれる体験ツールです。
AR Synth: ( https://artsexperiments.withgoogle.com/ar-synth/ )
スマホのカメラで自分の部屋を映すと、空間にヴィンテージな電子楽器(シンセサイザー)が3Dで現れ、音の波形(周波数)をいじって音を作るサイエンス体験ができます。

10歳からわかる「まとめ」

おんがくの正体は、空気をふるわせる「見えない波(ウェーブ)」! 物理(ぶつり =「りか」)の実験場へようこそ!
【音楽編】の第1回がはじまるよ!
「おんがく」って聞くと、楽譜(がくふ)を読んだり、リコーダーを正しく吹いたりすることだと思ってる?
でもね、探究の冒険の【音楽編】は、楽譜をおぼえるだけじゃない、びっくりするような「音のサイエンス(りか)」の実験場なんだ!
ドラムをたたいたり、歌を歌ったり。キミの声や楽器の音の正体、それは「空気の見えない波(振動=しんどう)」なんだよ。
コップの水をスプーンでたたいてみて。音が鳴ったしゅんかん、水面に小さな波紋が立つのに気づくはず! キミが手をたたくのも、声を出すのも、みんな空気をふるわせて、見えない「波」を作って世界に届けているんだね。
じゃあ、なんで「高い音」と「低い音」があるんだろう?
それはね、波が「どれくらい細かくて、いそがしいか」の違いなんだ。
高い音(ド): 波がものすごくギザギザで、いそがしく震(ふる)えている状態!
低い音(ド): 波がゆったりしていて、大きなうねりがある状態。
キミの声の高さを変えられるのも、のどの奥にある「声帯(せいたい)」という膜(まく)を、自分でいそがしく震わせたり、ゆったり震わせたり、コントロールできるからなんだよ。
街のノイズ(雑音)も、バラバラに聞こえるけれど、じつはみんな見えない「波」の仲間。キミがその「波の仕組み」を理解(りかい)して、みんなのアイデアで整えれば、街の音だって最高の音楽に変えることができるんだよ!
【音楽編】の冒険は、このサイエンスの部屋からはじまって、これからもっと深く、キミの心や体の謎を解き明かしていくよ!

*本原稿は、ジェミ兄さんとの対話を基に構成されました。

※この記事では、音楽を科学することに焦点を当て、物理的な側面から音の説明を試みました。