
※本記事では、外に出す書類作りに生成AIを活用する方法と注意点について紹介します。
言葉選びに迷う時間をなくす
全国の先生方、今日もお疲れ様です。
Google Workspace for Education 活用Tips「Gemini & Gemini Notebook編」の第3回です。
放課後の職員室で、パソコンの画面を前に「言葉選び」で何十分もフリーズしていませんか?
「急な日程変更のお知らせを作らなきゃいけないけれど、角の立たない、丁寧で分かりやすい言い回しが思い浮かばない…」
「学級通信に『今週の子どもたちの頑張り』を載せたいけれど、毎回同じような表現になってしまってマンネリ気味…」
「通知表や指導要録の所見時期。一人ひとりの良さをしっかり書きたいけれど、語彙力が限界でみんな同じような文章になってしまう…」
行事の案内、急なお願い、そして個別所見。先生が書くべき文章はどれも「失敗が許されない」「思いやりが求められる」ものばかりで、精神的にも時間的にも大きな負担ですよね。
今回は、「誰に(宛先)」「どんなトーンで」伝えるかを指定し、素早く最適な下書きを整えるプロンプト術をご紹介します。
1. カドを立てず分かりやすい「保護者向け通知文」の作成
急な時間割変更や、デリケートなお願いを保護者に伝えるとき、言葉遣いにはものすごく気を遣いますよね。
Geminiに「出来事」と「配慮してほしい点」を伝えるだけで、丁寧で過不足のない文章をドラフト作成できます。
通知文作成プロンプト例
【役割】
あなたは丁寧で配慮の行き届いた小学校のベテラン教員です。
【依頼】
以下の【状況】と【伝えたいこと】をもとに、保護者へ配る「お知らせ・お願いの通知文」の下書きを作成してください。
【状況】
・対象学年: 小学校5年生
・時期: 11月中旬
・件名: 来週の校外学習における「持ち物(雨具)」の追加と、当日の朝の登校時間(通常より15分早く)について
【伝えたいこと】
以下の項目を明確にして出力してください。
・行き先が屋外で天候が変わりやすいため、必ず「雨合羽(ポンチョ)」を持たせてほしい(傘は活動中使えないためNG)。
・バスの出発時間の関係で、登校時間が通常より15分早く【朝7時45分に】なる。遅れるとバスに乗れなくなるため、時間厳守でお願いしたい。
・急なお願いと朝早い登校で負担をかけることへのお詫びと、協力への感謝。
【条件】
・保護者への敬意と、児童の安全・スムーズな実施のための協力要請を、角を立てずに伝える。
・持ち物と時間は「箇条書き」などでパッと見て分かりやすく整理する。
これを投げると、お詫びの言葉から、見やすい箇条書き、時間厳守のお願いまで、そのまま印刷できるレベルの丁寧な文面が返ってきます。
2. 楽しく、温かく伝える「学級通信」のネタ・リライト
学級通信は、「楽しかった!」「頑張っていた!」という子どもや教師の熱量をそのまま伝えたいもの。箇条書きのメモから温かいエピソードへと膨らませる方法は以下の通りです。
学級通信リライトプロンプト例
以下の【活動メモ】をもとに、学級通信に掲載する温かく活気のあるエピソード(200〜300文字程度)を作成してください。
【活動メモ】
・今週の図工「ひらめき段ボール」
・みんなで大きな段ボールを切ったり繋げたりして、迷路や秘密基地を作った
・最初は一人でやっていたが、だんだん「ここ繋げよう」「窓作ろう」と自然と協力が始まった
・片付けも、声をかけ合って驚くほど早く終わった
【条件】
・タイトル(見出し)を1つ考えてください。
・「子どもの主体的な協力」や「成長」をほめる、温かい語り口調にしてください。
・保護者にも教室の楽しそうな様子が伝わるようにしてください。
3. 「語彙のマンネリ」を打破。「所見」の表現バリエーション
【まず、最重要】個人情報の保護のため、生徒の実名や、個人が特定できる具体的なプライバシー情報は絶対にGeminiに入力しないでください!
通知表や指導要録の所見作成は語彙力との戦いです。「頑張っていた」「意欲的だった」ばかりが続いて頭を抱えたことはありませんか?
そんな時は、「こういう傾向の行動」をポジティブに言い換える、というGeminiの使い方を試してみましょう。
所見表現言い換えプロンプト例
【依頼】
小学校の通知表の行動の記録・総合所見で使える、以下の「児童の様子」をポジティブかつ具体的に評価する文章のバリエーションを3パターン提案してください。
【生徒の様子】
・気が優しくておとなしい。自分から手を挙げて発言することは少ないが、グループワークやペア学習では、周りの意見をよく聞いて、言われた役割(記録や片付けなど)を黙々と最後までやり遂げる。
【条件】
・文字数は100〜120文字程度。
・「主体性」「協調性」「粘り強さ」などのポジティブな視点を強調する。
・「〜が素晴らしい」「〜な姿が見られました」など、実際の所見でそのまま使える文体にする。
「積極的な発言は少ない」という事実を、「他者の意見に耳を傾ける共感力」や「責任感を持って役割を果たす誠実さ」へと、ポジティブ変換で言語化してくれます。あとは、先生がご自身で、「採用」の可否や、「さらなる言い換え案」などを判断・検討してください。
今日のミニ校務ワーク (所要時間: 3分)
実際に、お詫びやお願いを含む「お便りの下書き」を生成させてみましょう。
課題: Geminiに「丁寧なお願いの通知文」を作らせてみよう
1. ブラウザで Gemini(gemini.google.com)を開きます。
2. 「小学校の担任として、保護者向けに『明日の持ち物に、急遽ハサミが追加になったこと』を伝える『お詫びとお願いの短い通知文』(メール配信用の150文字程度)を作って。丁寧で角が立たないトーンで。」 と送信します。
3. 返ってきた文章の「トーン(丁寧さ、分かりやすさ)」をチェックしてみましょう。
★ここをチェック!
「急なお願い」という少し気の重い文章も、カドを立てずに「明日必要な理由」を添えてスマートに構成してくれましたか?
10歳からわかる「まとめ」
「正しい、でも難しい」文章の土台はAIに。先生は「想いを込める」ことに集中する
いかがでしたか?
お便りや所見の「言葉選び」「形式を整える」といった事務的な部分に時間を奪われるのはもう終わりにしましょう。言葉遣いの土台はGeminiに任せ、先生は「この文面にあのエピソードを少し加えよう」「この子のあの素晴らしい笑顔を言葉にしよう」と、先生にしかできない「心を込めるリライト」に時間を使いましょう。
次回(第4回)は、ついに新ツールの登場。「嘘をつかないAI。Gemini Notebookに『学習指導要領』や『校内規程』を読み込ませる技」をお届けします。お楽しみに。
正・反・合
手書きが中心だった時代は、修正するだけでも一から書き直しになって本当に大変でしたよね。でも、その頃から手紙や大切なメールは「一晩置いてから見直す」ということがよく勧められていました。
一気に書き上げた文章というものは、どうしても自分の熱量や焦りがそのまま乗りすぎてしまい、「勢い余った文言」を使ってしまいがちなものです。一晩寝かせて、少し冷静な頭で見直してみると、「うわ、これはちょっと表現がまずいぞ……」と自分でブレーキを踏むことができました。
時間に余裕がある案件なら、「一晩置く」という推敲法は今でも間違いなくおすすめです。
しかし、学校現場の先生方には「そうも言っていられない状況」が日常茶飯事ではないでしょうか。
「今日の下校時間までに急いで印刷し、子どもたちに持たせなければならない!」という、まさに時間との戦いに追われる保護者向けのお便り作成。そんな緊迫した職員室の光景が目に浮かびます。
切羽詰まった時こそ、生成AIの力を借りて一緒に文章を練り上げる価値があります。
前回もお話ししたように、私たち人間は「誰か別の人が作った下書きを見て、客観的に手を入れること」がとても得意です。急いで自分が書いた文章は主観の罠にハマりやすいですが、AIが冷静に整えてくれたたたき台を眺めることで、一歩引いた視点で「言葉のトーン」を点検できます。
時間に追われながらも、ケアレスミスを防ぎ、相手にしっかりと想いが伝わる質の高い文章を届けるために、遠慮なく彼ら(生成AI)の力を頼ってみませんか。
*本原稿は、ジェミ兄さんとの対話を基に構成されました。
※本記事では、外に出す書類作りに生成AIを活用する方法と注意点について紹介しました。

ジャートム株式会社 代表取締役
学校・企業・自治体、あらゆる人と組織の探究実践をサポート。
Inquiring Mind Saves the Planet. 探究心が地球を救う。
