
※本記事では、単元の授業案やワークシート作りに生成AIを活用する方法について紹介します。
指導案からワークシートまで1分で下書き
全国の先生方、今日もお疲れ様です。
Google Workspace for Education 活用Tips「Gemini & Gemini Notebook編」の第2回です。
単元の計画を立てるとき、特に、新しい探究的な方法を組み入れようとするとき、このような壁にぶつかることはありませんか?
「指導案の様式を埋めるだけで手一杯になり、肝心の子どもたちの思考プロセスを練る時間が取れない…」
「探究的な問いに沿ったワークシートを作りたいけれど、白紙のWordやドキュメントを前にレイアウトで悩んでしまう…」
「同じ単元でも、じっくり進めたいグループとどんどん深めたいグループで教材の作り分けが追いつかない…」
第1回では授業の「導入(つかみ)」をGeminiとやり取りして詰める方法をお伝えしました。今回はその一歩先、「単元全体の設計(指導案の骨子)」から「手元に配るワークシートの枠組み」までをGeminiに一気通貫で下書きしてもらう技をご紹介します。
1. 「探究のプロセス」を組み込んだ指導案の下書き作成
指導案を作るとき、学習指導要領の「資質・能力の3つの柱(知識及び技能/思考力・判断力・表現力等/学びに向かう力・人間性等)」を意識しながら、問いの連鎖を組み立てるのは骨が折れる作業です。
しかし、Geminiに役割と構成条件を提示することで、この「思考の整理」を数秒で形にすることができるようになります。
指導案骨子作成プロンプト例
【役割】
あなたは小学校の総合的な学習(探究)および教科横断的な授業設計に精通した教師です。
【依頼】
以下の条件をもとに、全4回(1回45分)のミニ探究単元の指導案骨子を作成してください。
【単元情報】
・対象学年: 小学校6年生
・教科/領域: 社会科(地域の歴史・産業)×総合的な学習の時間
・テーマ: 「地域の魅力を再発見し、未来につなぐPR提案を考えよう」
【出力条件】
以下の項目を明確にして出力してください。
1. 単元の目標(3つの資質・能力の観点別)
2. 各時間の流れ(1時: 課題の設定、2時: 情報の収集、3時: 整理・分析、4時: まとめ・表現)
3. 各時間における「中心となる問い(キー・クエスチョン)」と「教員の支援のポイント」
これを投げると、先生が頭の中で組み立てようとしていた「問いの流れ」が一覧表として整理されて出力されます。
2. そのままワークシートの構成案へと連動させる
指導案の骨組みができたら、画面を切り替えずに同じチャット欄でそのままワークシートの原稿を作成させます。これがGeminiの文脈把握力(コンテキスト保持)を活かした最速ルートです。
ワークシート生成プロンプト例
上記の第3時間目(整理・分析)で、児童がグループワークで記入する「Google ドキュメント/印刷配布用ワークシート」の枠組みを作成してください。
【条件】
・児童が取り組みやすいよう、記入欄を3つのステップ(事実の整理/自分たちの考察/次のアクション)に分割する
・各枠の中に、思考を助ける「記入のヒント(つぶやき形式)」を添える
・発展的な探究に進みたい児童向けの「チャレンジ枠」を1つ設ける
・A4用紙1枚に収まる分量を想定した項目設計にする
このように指定すると、「見出し」「問い」「児童への問いかけ(ヒント)」「記入枠」が構造化されたテキストとして出力されます。これをコピーしてGoogle ドキュメントやGoogle Classroomの「各生徒にコピーを作成」に貼り付けるだけで、実用的なワークシートが完成します。
3. 「発展・基礎」の2階建てワークシートを瞬時に作り分ける
全員に同じ問いを投げると、「難しすぎる」と感じる子と「もっと深く調べたい」と感じる子に分かれます。
Geminiに対して、
「上記のワークシートの項目を、文字入力を控えめにして選択式やキーワード記入を中心にした【ベーシック版】にリライトして」
「探究が早く進んだ児童向けに、別の視点(他地域との比較)を盛り込んだ【アドバンス版】の追加設問を作って」
と指示を出すだけで、難易度別のバリエーション教材が即座に揃います。個別最適な学びの準備にかかる時間を大幅に圧縮できるポイントです。
今日のミニ校務ワーク (所要時間: 3分)
実際にワークシートの「下書きテキスト」を生成させてみましょう。
課題: Geminiにワークシートの枠組みを作らせてみよう
1. ブラウザで Gemini(gemini.google.com)を開きます。
2. 「中学生向けに『地域のごみ問題を解決するアイデア』を整理するA4・1枚分のワークシート構成案を作って。思考のステップを3段階に分け、問いのヒントも入れてください。」 と送信します。。
3. 返ってきた構成を見て、自分のクラスならどのような文言に変えたいかをチェックしてみましょう。
★ここをチェック!
ゼロから枠線を引いて文言を悩む作業に比べ、土台(下書き)がある状態から調整する方がはるかに思考がスムーズに進むことを実感できたでしょうか?
10歳からわかる「まとめ」
枠組み作りをAIに委ね、先生は「子どもをどう揺さぶるか」に集中する
いかがでしたか?
指導案やワークシートの形式を整える作業はAIに下書きさせ、先生は「この発問で子どもたちの目が輝くか」「どの子にどんな声をかけるか」という、人間ならではの授業デザインにエネルギーを集中させましょう。
次回(第3回)は、学校現場の文章作成を一気に効率化。「言葉選びに迷う時間をゼロへ!通知文・学級通信・所見の下書きを整えるプロンプト術」をお届けします。お楽しみに。
正・反・合
いわゆる「ゼロイチ(何もない白紙から1を生み出すこと)」は、教育現場に限らずどんな分野においても本当にエネルギーを使う大変な作業です。
しかし、一度できあがった「ver 1.0」を1.1、1.2と改良していくことや、そのver 1.0をヒントにして次のver 2.0を思いつくことは、実はさほど難しくありません。私たち人間は誰しも、「誰かが用意してくれた『たたき台』に対してアイデアを思いつき、意見や工夫を加えること」が本質的にとても得意だからです。
その最も苦しい「ファーストドラフト(初期案)」を瞬時に作ってくれることこそ、現代の生成AIがもたらしてくれた最大の恩恵です。しかもAIは、こちらが思いつくままに投げる無数の修正依頼に対しても、嫌な顔一つせず、文句も言わずに付き合ってくれます。いろいろ試してみて「やっぱりさっきの方が良かったから、元に戻して!」という無茶振りですら、遠慮なく何度でも出せるのです。人間相手なら気後れして言えないような試行錯誤も、AIが相手なら気兼ねなく徹底的にやり切ることができます。
であるならば、この便利な相棒をとことん使い倒さない手はありません。
たとえば、まずはクラスの中心層に合わせた「標準モデル版」のワークシートを納得いくまで練り上げる。その完成版をベースにして、子どもたちの習熟度や興味関心に合わせて「少しやさしい初歩版」や「一歩踏み込んだ発展版」などを一瞬で派生させていけばよいのです。
忘れてはならないのは、AIが作ってくれたドラフトを鵜呑みにせず、先生自身の確かな目で吟味し、より良い学びへと改良の手を緩めないこと。AIに土台を任せ、先生は「磨き上げ」にとことんこだわる。そんな贅沢な授業づくりを、ぜひ楽しんでみることにしましょう。
*本原稿は、ジェミ兄さんとの対話を基に構成されました。
※本記事では、単元の授業案やワークシート作りに生成AIを活用する方法について紹介しました。

ジャートム株式会社 代表取締役
学校・企業・自治体、あらゆる人と組織の探究実践をサポート。
Inquiring Mind Saves the Planet. 探究心が地球を救う。
